1999 Fiscal Year Annual Research Report
ラットを用いたサイクロスポリンA誘発性歯肉増殖症におけるインテグリンに関する研究
Project/Area Number |
11672083
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
片岡 正俊 徳島大学, 歯学部, 助手 (20224438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺原 洋士 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (30294713)
木戸 淳一 徳島大学, 歯学部, 講師 (10195315)
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Keywords | サイクロスポリンA / コラーゲンファゴサイトーシス / 歯肉増殖症 / α2インテグリン |
Research Abstract |
サイクロスポリンA(CsA)誘発生歯肉増殖症の発症機構として,我々はラットモデルをて,線維芽細胞によるコラーゲンファゴサイトーシスの抑制が,発症に重要な役割を果たすことを明らかにした。ところで,α2β1インテグリンは線維芽細胞上にてI型コラーゲンのレセプターとして働き,更に線維芽細胞のコラーゲンファゴサイトーシスはα2インテグリンにより制御されることが報告されている。そこで,CsA誘発性歯肉増殖症において,線維芽細胞上のα2インテグリンの発現レベルをラットモデルを用いて測定し,コラーゲンファゴサイトーシスの抑制とα2インテグリン発現レベルとの相間を検討した。 8日及び30日間CsA投与ラット下顎大臼歯部歯肉から、線維芽細胞を分離培養しFITCラベルしたコラーゲン処理ラテックスビーズの細胞内への取り込みをFACScanにて測定した。その結果、8日及び30日間CsA投与群においては、2.0±1.0%及び9.9±1.5%を示す一方、コントロール群では13.0±1.0%及び33.3±4.9%の細胞がファゴサイトーシス能を有しており、CsA投与により特にCsA投与初期の段階でファゴサイトーシス能が著しく抑制されることが示された。FITCラベルした抗ラットα2インテグリン抗体を用いて、同線維芽細胞を抗体染色し蛍光顕微鏡にて観察すると、CsA投与群由来細胞はそれぞれコントロール群よりも染色程度は弱く、さらにFACScanにてその蛍光強度を測定すると8日及び30日間CsA投与群由来線維芽細胞の強度は、25.1±6.1、51.1±2.5を示すのに対し、コントロール群では50.7±6.3及び67.0±5.5を示し、双方の時期において細胞上のα2インテグリンの発現は抑制されていた。このようにα2インテグリンの発現抑制により、線維芽細胞によるI型コラーゲンの認識とそのファゴサイトーシスを抑制することにより、歯肉結合識中にコラーゲン線維が蓄積することにより歯肉増殖が発症する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)