1999 Fiscal Year Annual Research Report
新規軸不斉キラル配位子ライブラリーの構築と生物活性化合物の不斉合成への応用
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11672098
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西田 篤司 千葉大学, 薬学部, 助教授 (80130029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 昌子 千葉大学, 薬学部, 教授 (40009171)
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Keywords | 不斉Diels-Alder反応 / 軸不斉 / 1,1'-(2,2'-ビスアミノ)ビナフタレン / ルイス酸 / ランタノイド / マクロラクタム / マンニッヒ反応 / イミノエン反応 |
Research Abstract |
軸不斉化合物はその構造と物理化学的性質から広く興味を持たれ研究されてきたが、近年、ビナフトール、BINAPなど軸不斉光学活性リガンドが不斉合成に用いられるようになり、さらにその重要性が増している。我々は市販の1,1'-(2,2'-ビスアミノ)ビナフタレンを基本構造として新たなキラルリガンドを種々開発し不斉合成に用いることを目的として研究を行った。1)1,1'-(2,2'-ビスベンゾイルアミノ)ビナフタレン類は三級アミン存在下、Yb(OTf)_3と錯体を形成し、得られた錯体はシクロペンタジエンとクロトニルイミド間のDiels-Alder反応を触媒し、高収率かつ高選択的に光学活性な付加体を与えた(化学収率、97%;endo/exo比、91/9;不斉収率、>99%ee)。種々の[ビス(4位置換ベンゾイルアミノ)]ビナフタレンを合成し、その不斉誘導能を調査したところ4位にフェニル基を有するリガンドが最も高いendo/exo比(93/7)を示した。2)1,1'-[2,2'-[(R)-1-(2-ナフチル)エチル]ウレイド]ビナフタレンはYb(OTf)_3と錯体を形成し、得られた錯体は芳香族イミンとシリルケテンアセタールとの間のマンニヒ型アルキル化反応を触媒し化学収率96%にて光学活性アミノエステル(44%ee)を与えた。3)トシルイミンとα-メチルスチレンとのイミノエン反応がYb(OTf)_3/TMS-Clを触媒として用いることにより著しく加速されることを見い出した。現在本反応の不斉化を検討中である。4)側鎖末端に二重結合を有す1,1'-(2,2'-ビスアシルアミノ)ビナフタレン類は閉環メタセシスにより軸不斉大環状ラクタム類を高収率で与えることを見い出した。本化合物のキラルリガンドとしての機能および分子認識能も検討する予定である。
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[Publications] Masamichi Yamanaka: "Ytterbium(III) Triflate/TMS-Cl; Efficient Catalyst for the Imino Ene Reaction"Organic Letters. 2・1. 159-161 (2000)
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[Publications] Atsushi Nishida: "Enantioselective Diels-Alder Reaction Catalyzed by Chiral 1,1'-(2,2'-Bisacylamino) binaphthalene-Ytterbium Complex"Tetrahedron Letters. 40・8. 1555-1558 (1999)