1999 Fiscal Year Annual Research Report
アプイニシオ分子軌道計算を用いたホルナーエモンズ反応の反応経路の解明
Project/Area Number |
11672106
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
安藤 香織 琉球大学, 教育部, 助教授 (70211018)
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Keywords | ホルナーエモンズ反応 / 反応機構 / アプイニシオ分子軌道計算 / 溶媒効果 / ジメチルホスホノ酢酸メチル / アセトアルデヒド |
Research Abstract |
ホルナーエモンズ反応の反応機構をアプイニシオ分子軌道計算を用いて調べた。反応基質としてジメチルホスホノ酢酸メチルのLi塩とアセトアルデヒドを用い、ハートリーホック法により基底関数として6-31+G^★を用いて計算したところ、実験化学的に得られるトランス選択性を説明できることがわかった。反応はリチウムエノレートのアルデヒドへの付加(TS1)、続くオキサホスフェタン形成(TS2)、リンでのシュードローテーション、P-C結合の開裂によるエノレートの形成、そしてβ脱離によるオレフィン形成によって進行することがわかった。ただし、P-C結合の開裂により生成するエノレートのβ脱離はほとんど自発的に起こり、従ってエノレートは中間体とは考えないほうが良いようである。TS1ではシス体の方が有利であるが、TS2ではトランス体の方が有利で、律速段階はオキサホスフェタン形成のTS2であるため、トランスーオレフィンが主生成物になることが分かった。また、ガス相での計算だけでなく、溶媒としてジメチルエテールを1ないし2分子リチウムに配位させた計算を行い、さらに連続誘電体モデルにバルクの溶媒効果を調べたところ、TS2の方がTS1より溶媒による安定化を受けやすいことも分かった。また、十分な溶媒による安定化を受けた場合には主にエントロピー項がトランス体生成に寄与していることから、反応温度を下げることにより(エントロピー項を減少させることにより)、シス体の比率を上げることができることが示唆された。実験、いくつかの脂肪族アルデヒドとのホルナーエモンズ反応をTHF中-78度で行い、0度の場合よりシス体の比率が劇的に上昇することが分かった。
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Research Products
(1 results)