2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規不斉へテロハイブリッド型配位子の開発と触媒的不斉合成への応用
Project/Area Number |
11672111
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
森本 俊明 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (60046307)
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Keywords | 不斉配位子 / キラル素子 / パラジウム触媒 / 不斉触媒 / 不斉アリル化 / カルボアニオン / キラリティ / エナンチオ選択性 |
Research Abstract |
昨年度までに、キラル素子β-アミノアルキルホスフィンをもつVALAPをはじめとする幾つかの不斉配位子を開発し、それらがパラジウム触媒不斉アリル位アルキル化の優れた配位子であることを見いだしているが、今回それらおよび類縁体の配位子を用い、より詳細な検討を行った。これまで検討されていなかった比較的ハードな求核種であるモノエステルのカルボアニオンのアリル化を検討した。その結果、ソフトなマロン酸エステルのカルボアニオンと比較し選択性は低下し、対カチオンの種類や溶媒等によって大きく変化した。従ってハード性が高いモノエステルの場合、求核種はケテンシリルアセタールとして用いるのが有利であることが明らかとなった。さらに二座配位子のキラリティをPr/Mrで表記する方法を提起し、開発した配位子を含めこれまでに報告された一般的配位子についてもこれに基づき分類し、そのキラリティとアリル化生成物の絶対配置との間に良い相関関係(Mr-chirality配位子:鎖状化合物→R、環状化合物→S)があることを見いだした。さらにこのPr/Mrキラリティに基づき鎖状および環状アリルエステルを用いる不斉アリル化のエナンチオ選択に関する一般的メカニズムについて考察した。上記キラル素子2分子にフタロイル基をスペーサーとして導入したジホスフィン配位子は、環状のアリルエステルを用いるアリル化で高い選択性(99%ee,S)を示しVALAPと同じMr-chiralityと予測されたが、鎖状の基質では予想と逆のS選択性を示した。そこでスペーサーとしてC_0からC_3の炭素鎖とジアシルをもつ類縁体を合成し鎖状基質で検討した結果、C_1の配位子では同じS選択性を示しシクロブタン-1,1-ジアシル体で最高93%eeが得られたが、スペーサー(C_3)によっては選択性がその逆(83%ee,R)になるという興味ある結果を得た。
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[Publications] Akihito Saitoh: "Versatile chiral bidentate ligands derived from α-amino acids : Synthetic applications and mechanistic considerations in palladium-mediated asymmetric allylic substitutions."J.Org.Chem.. 65・14. 4227-4240 (2000)
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[Publications] Akihito Saitoh: "Induction of reversal chirality by C2-symmetric diamide linked-diphosphine ligands in catalytic asymmetric allylations."Tetrahedron : Asymmetry. 11・51. 4049-4053 (2000)