2000 Fiscal Year Annual Research Report
分子内ヘテロ環化付加反応を用いる抗腫瘍性アルカロイドの立体制御合成
Project/Area Number |
11672116
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy & Life Science |
Principal Investigator |
青柳 榮 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (30212385)
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Keywords | レパジホルミン訂正式 / ホヤ / 海洋アルカロイド / 抗腫瘍性 / アシルニトロソ化合物 / 分子内ヘテロDiels-Alder反応 |
Research Abstract |
前年度において、分子内アシルニトロソDiels-Alder反応を鍵反応として抗腫瘍性海洋アルカロイドであるレパジホルミンの提出式を全合成した。しかし、本合成品のスペクトルデータは天然品のそれとは一致しなかったことから、提出式は誤りであることが判明した。そこで、天然レパジホルミンの正しい構造としては、cis-デカヒドロキノリン構造を有する提出式とは異なり、trans-デカヒドロキノリン構造を有する4種の立体異性体のうちC-3位ヒドロキシメチル基とC-5位ヘキシル基がそれぞれ3α,5αあるいは3α,5βの立体配置を有する2種の化合物が有力であると推定した。本年度においてはその合成を検討した。 アシルニトロソ化合物のanti面選択的な分子内へテロDiels-Alder反応により生成するB/Ctrans-付加体より導いたアミノケトンの還元的分子内閉環反応により、3α,5α配置を有する 5-エピレパジホルミンの合成を達成したが、本合成品のスペクトルデータは天然品のスペクトルデータと、遊離塩基、塩酸塩ともに一致しなかった。そこで、3α,5β配置を有する構造が最も有力であると考え、5-エピレパジホルミンの合成中間体である3'α-アルコール体の分子内脱水環化反応により合成を達成し、結晶性の塩酸塩を得た。本合成品の立体配置はX線結晶構造解析により確認した。ここに得られた塩酸塩は、天然レパジホルミンの標品とスペクトルデータが完全に一致したことから、(±)-レパジホルミンの最初の全合成を達成するとともに、天然レパジホルミンの相対立体配置を3R^*,5S^*,7aR^*,11aR^*と確定することができた。
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