2000 Fiscal Year Annual Research Report
α-グルコシダーゼ阻害活性を有するチオ糖スルホニウム硫酸分子内塩の合成研究
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11672128
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
村岡 修 近畿大学, 薬学部, 教授 (20142599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邉 元三 近畿大学, 薬学部, 助手 (40217104)
峯松 敏江 近畿大学, 薬学部, 助手 (60088151)
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Keywords | salacinol / Salacia reticulata / antidiabetic agents / α-glucosidase inhibitor / sulfonium sulfate inner salt / azasugar / cyclic sulfate / coupling reaction |
Research Abstract |
報告者らは,1997年インドやスリランカの伝承医学であるアーユル・ヴェーダで,糖尿病の治療に用いられている天然薬物"Kotala himbutu"(Salacia reticulata)の抽出エキスから,強力なα-グルコシダーゼ阻害作用を示す成分,Salacinol(1)[Tetrahedron Lett.,8367(1997)]を単離し,絶対構造を含めたその特異な構造を明らかにしている.昨年度の研究により1の部分構造,すなわち,1-deoxy-4-thio-D-arabino-pentofuranose[2,D-xylose(3)からの総収率68%] およびブタントリオール側鎖部4[D-glucose(5)からの総収率22%]の合成法を確立した.さらに,2および4を触媒存在下でカップリング反応に付し、相当するスルホニウム塩6に導いた.6の硫酸エステル化による1への変換を検討中,他の研究グループによる1の合成が報告された[Tetrahedron Lett.,6615(2000)]. そこで,第二の課題である1の構造と活性の相関関係の検討を行なうため,チオ糖2の硫黄原子を窒素原子に置き換えた5員環アザ糖,1,4-dideoxy-1,4-imino-D-arabinitol(7)を合成し,窒素原子の修飾により,1の類縁体の合成を行なった.すなわち,既知の方法[Tetrahedron:Asymmetry,119(1990)]を改良し,diacetone D-glucose(8)から12工程で7を好収率[45%(文献値33%)]で合成した.一方,窒素のアルキル側鎖部に用いる1,3-isopropylidene-D-erythritol cyclic sulfate(8)を,D-glucose(5)から6工程かつ,80%の高収率で合成した.今後,7と8のカップリング反応により得られた中間体9のイソプロピリデン基を脱保護することにより,目的のアンモニウム塩10に導き,さらに数種の10の立体異性体の合成を行なうとともに,これらの薬理活性について検討を加える.
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