Research Abstract |
これまで著者らが進めてきた生体内グリコサミノグリカンに関する研究は,どのような種類のグリコサミノグリカンが,どこに,どれほどの量存在しているかを明らかにすることを第一の目的としてきた.その結果,哺乳動物の各種臓器におけるグリコサミノグリカンの構造と分布(Biochem.J.,322,499-506(1997)に発表)や,新しいグリコサミノグリカンの発見(J.Biol.Chem.,271,11750-11755(1996)に発表)などの成果を挙げた.この中で,特にヘパラン硫酸に含まれるアミノ基が置換されていないグルコサミンを含む糖鎖配列の発見は(Biochem.J.,322,499-506(1997)に発表)は,白血球膜表面に発現するセレクチンに特異的に結合することが明らかとなり,その構造特異性を証明することができた.また,アフリカマイマイから単離精製されたヘパリン様グリコサミノグリカンは(J.Biol.Chem.,271,11750-11755(1996)),新規のグリコサミノグリカンとして世界中から注目を集め,現在も継続してその生理活性が精力的に検索されている.また,反応条件を詳細に再検討し,NMRスペクトル,及び様々な化学分析により,完全O-硫酸化グリコサミノグリカンの調製に成功し(Carbohydr.Res.,306,35-43(1998)),これらの抗血液凝固活性(Int.J.Biol.Macromol.,26,233-241(1999).),抗ヒアルロニダーゼ活性(Arch.Biochem.Biophys.,370,176-182(1999)),細胞増殖阻害活性(Arch.Biochem.Biophys.,371,228-233(1999))などを示した.一方,NMRスペクトルを用いた糖鎖配列及び立体構造の解析法に関しては,ヘパリン由来アンチトロンビンIII結合領域を含む糖鎖の単離(Proc Natl Acad Sci USA.97(19):10359-10364(2000)),完全O-硫酸化ヒアルロオリゴ糖の調製とその生理活性に関する検討(Glycobiology(2001)を通して確立された.
|