2000 Fiscal Year Annual Research Report
多彩な生物活性を有する肝細胞増殖因子のホメオスタシスに基づいた臓器特異的送達
Project/Area Number |
11672138
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Research Institution | Graduate School of Pharmaceutical Sciences, The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 将夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30251440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 敦史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (50302774)
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Keywords | 肝細胞増殖因子 / サイトカイン / 体内動態 / ドラッグデリバリーシステム / ホメオスタシス / クリアランス |
Research Abstract |
肝細胞増殖因子(HGF)は、肝障害、腎障害などの障害臓器の修復を目的とした、医薬品としての開発が期待されている。しかしながら、その血中安定性が低いこと、レセプターの発現が多臓器にわたることから生物活性が標的臓器以外においても発揮される危険性があり副作用の問題があること、が問題となっている。前年度の研究からHGFの体内動態機構、特に障害臓器と非障害臓器における挙動の違いが明らかとなり、肝臓、腎臓、肺のいずれの臓器障害においても障害臓器特異的な移行はさほど認められないことが明らかとなった。そこでより障害臓器特異性を発揮させる目的で、HGFの前駆体である一本鎖HGFを遺伝子組み換えにより合成し、その生物活性ならびに臓器移行性について検討を試みた。一本鎖HGFは成熟HGF(二本鎖)に比べ障害臓器特異的な生物活性が比較的強く認められたものの、遺伝子組み換えによって生成される蛋白量が十分でなかったため、それ以上の検討が困難となった。そこで同様な体内動態学的問題点を持つサイトカインであり、その反面遺伝子組み換えによる蛋白質の合成が比較的容易な上皮成長因子(EGF)に切り替え、さらに検討を加えたところ、EGFの体内動態特性を変化させるための新たな知見(細胞にエンドサイトーシスされた後のレセプターからの解離を制御することによってEGFを再び細胞表面に戻す方法)が得られた。この方法に従うことにより、サイトカインの血中での安定性を高めることにつながる可能性が示唆されたものの、障害臓器特異性の問題は今後のさらなる検討が必要であると考える。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 前田和哉: "EGFレセプターに結合するリガンドの細胞内ソーティングを支配する要因:pH依存的なリガンド解離特性の解析"DDS研究の進歩. 8. 61-70 (2000)
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[Publications] Y.Sugiyama: "Biomaterials and Drug Delivery toward New Millenium"Ed.By K.D.Park,I.C.Kwon,N.Yui,S.Y.Jeong and K.Park.. 11 (2000)