2000 Fiscal Year Annual Research Report
血漿リポタンパク質の酸化修飾に伴う薬物結合能の変化
Project/Area Number |
11672139
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
澁川 明正 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (30170913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 幸弘 京都大学, 薬学研究科, 助手 (60314225)
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Keywords | リポタンパク / 結合分析 / キャピラリー電気泳動 / 先端分析 / LDL / ニルバジピン / フルバスタチン / リポソーム |
Research Abstract |
血漿リポタンパク質は疎水性薬物や塩基性薬物と強く結合して、その体内動態や薬理効果の発現に影響を与える。低密度リポタンパク質(LDL)は生体内で酸化修飾されるが、LDLの酸化に伴って薬物との結合が変化すると、薬物の体内動態に影響が生じて個人間変動や病態時変動の原因となるおそれがある。また、血漿リポタンパク質の構成成分であるアポリポタンパク質や一部の脂質成分は光学活性な化合物であるので、血漿リポタンパク質と光学活性な薬物の結合は光学異性体間で異なる可能性がある。そこで我々は、独自に開発した高性能先端分析(HPFA)法をキャピラリー電気泳動(CE)に組込んだHPFA/CE法を利用することにより、LDLの酸化が薬物結合性に及ぼす影響を定量的かつ立体選択的に評価することを試みたところ、以下の知見を得た。 1)LDL酸化に伴って、ベラパミル、ニルバジピンや高脂血症治療薬であるフルバスタチン等のモデル薬物との結合が強くなった。LDLの2時間酸化によりフルバスタチンとのnK値は約2倍増加した。 2)モデル薬物と酸化LDLとの結合は非特異的で分配的な性質を示し、薬物濃度が増加してもタンパク結合率に変化は見られなかった。また、今回使用したいずれの光学活性薬物でも、光学異性体間のタンパク結合率に差はなく、立体選択性は見られなかった。 3)LDL脂質成分の酸化修飾の影響を解明するために、アシル鎖構造や電荷が異なる数種のモデルリポソームを調製し、モデル塩基性薬物(ベラパミル、プロプラノロール)との結合分析を行った。その結果、LDL酸化に伴う結合増大は正電荷の減少によって引き起こされ、アシル鎖の変化の影響は小さいことが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y,Kuroda,B.Coo,A.Sbibukowa T,Nakagawa: "Effect of oxidation of low density lipoprotein on drug binding affinity studied by high-performance frontal analysis/capillary electroforesis"Electrophesis. (発表予定).