1999 Fiscal Year Annual Research Report
イオン交換樹脂表面での脂質2分子膜の構築と分離剤への応用
Project/Area Number |
11672146
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中山 守雄 熊本大学, 薬学部, 助教授 (60164373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 久美子 熊本大学, 薬学部, 助手 (70150547)
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Keywords | 脂質二分子膜 / イオン交換樹脂 / リポソーム / HPLC |
Research Abstract |
脂質二分子膜を基本構造とする生体膜は高い配向性を有し、脂質の親水部の変化に伴う多様な表面荷電状態を呈する。このような点で高度のイオン交換体として生体内で重要な分子認識環境を形成していると考えられる。本研究では生体膜の潜在的分離能を明らかにするためのモデルおよび新規イオン交換分離特性を有する分離材の開発を目的として、イオン交換樹脂表面のイオン交換基とイオン対を生成しうるイオン性親水部を有する二分子膜(リポソーム)をイオン交換樹脂上に固定化を試みている。 本年度は、MR(巨大網状)型陰イオン交換樹脂であるAmberlite IRA900、ゲル型陰イオン交換樹脂であるDiaion SA11A、MCI Gel CA08S、にリポソームの形成が確認されているジアルキル化合物Phosphoric acid di-n-hexadecyl ester(DCP)を固定化し、陰イオン交換樹脂DCP複合体を作成した。実体顕微鏡による観察では、複合体は1ヶ月間、緩衝液中で保存しても変化は認められず、安定であった。また、Pの定量、X線蛍光分析の結果、DCPが固定化されていることも確認できた。次に、高分子化合物として5種類のタンパク質を用いてHPLC分析によってイオン交換特性を検討した結果、母体としての陰イオン交換樹脂がDCPの固定によって陽イオン交換特性を示すことが示され、その分離特性の大きな変化が確認された。しかし、固定化にはイオン交換樹脂の表面状態および調製した二分子膜の状態が大きく影響すると考えられ、さらに素材の検討を続ける予定である。
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