2000 Fiscal Year Annual Research Report
イオン交換樹脂表面での脂質2分子膜の構築と分離剤への応用
Project/Area Number |
11672146
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中山 守雄 長崎大学, 薬学部, 教授 (60164373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 久美子 熊本大学, 薬学部, 助手 (70150547)
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Keywords | 脂質二分子膜 / イオン交換樹脂 / リポソーム / HPLC / 共焦点レーザ走査顕微鏡 |
Research Abstract |
我々は、脂質分子の高い配向性に基づいた秩序構造を有する生体二分子膜の特性を備えたイオン交換性分離用素材の開発を目的として、イオン交換樹脂表面で二分子膜構造を形成させる試みを行っている。今年度は、共焦点レーザ走査顕微鏡を使って陰イオン交換樹脂表面で形成させた長鎖ジアルキルリン酸二分子膜のキャラクタリゼーションを行った。 リン酸ジ-n-ヘキサデシル(DCP)とオクタデシルローダミンB(ODR)を1000:1のモル比で混合し、プローブ型ソニケータで処理した。得られたベシクル懸濁液を、予め同じ緩衝液中で湿潤させたゲル型強塩基性陰イオン交換樹脂DIAION SA11A(粒子径:350〜550mm)に加え55℃の水浴中で一定時間振盪した。振盪後、樹脂をpH8.5トリス緩衝液で洗浄し、共焦点レーザ走査顕微鏡LMS410(カールツァイス社製)を使って樹脂の断層蛍光像を観察した。樹脂へのDCPの吸着量は、振盪前後の懸濁液中のリン濃度の差から算出した。 DCP二分子膜の標識には、蛍光性膜プローブとして汎用されるORDを使用した。ORDはDCP二分子膜に包埋されるため、得られる蛍光像はDCP二分子膜の位置を示すと考えられる。断層蛍光像の観察から、球状樹脂の輪郭に沿ってODRの蛍光が認められた。この樹脂輪郭の蛍光強度は、樹脂とDCP懸濁液との振盪の際のDCP濃度に対応して増大した。また、樹脂へのDCPの吸着量は、振盪の際の懸濁液中のDCP濃度に対応して増加した。これらの結果より、樹脂表面でDCP層が形成されていることが確認された。
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