2000 Fiscal Year Annual Research Report
有機二価イオンの分子認識能解明と分子スイッチ構築への応用
| Project/Area Number |
11672148
|
|---|
| Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
|---|
Principal Investigator |
宇野 文二 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (80160307)
|
|---|
| Keywords | 有機二価イオン / 分子認識 / 分子スイッチ / 有機電気化学 / パイ-パイ相互作用 |
|---|
| Research Abstract |
本研究の目的は、π電子系二価イオンの分子化合物生成能に対する新規な分子認識機構の提案と、その実証及びそれを利用した電位掃引に伴う分子スイッチの構築である。本年度はこの目的達成のために、電子受容体分子であるテトラシアノエチレン(TCNE)やクロラニル(CA)二価イオンが炭化水素類π電子系と相互作用して電荷移動(CT)錯体を生成するときの分子認識能を明らかにした。電気化学的測定により有機二価イオンはビフェニレンのような4nπ電子系分子のみを認識して相互作用することが明らかとなった。そして、分光電気化学的測定により有機二価イオンの分子間CT吸収帯を観測し、この相互作用がπ-π型CT相互作用に基づくことを証明した。本研究により有機二価イオンのCT相互作用が初めて観測された。そして、有機二価イオンの分子化合物生成は、有機二価イオンが電子供与体として4nπ電子系分子の特異的キャラクターを分子軌道レベルで認識していることを明らかとした。また、二価イオンが生成するTCNE錯体やCA錯体は中性のときとは異なる構造を与えることを明らかにした。これは中性の場合と二価イオンの場合で錯体生成に伴う電子供与体と電子受容体が入れ替わり、HOMO-LUMO相互作用が異なることに起因することがわかった。したがって、電気化学的に制御された色と構造の異なる2つの安定なπ-π型電荷移動相互作用に基づく分子化合物生成系を確立することができた。これらの結果は分子スイッチや分子デバイスに代表される機能性分子構築への基礎的知見を与えるものとして意義あるものと思われる。
|
-
[Publications] N.Okumura,M.Goto,B.Uno: "Structural and Spectral Characteristics of the Electrogenerated Tetracyanoethylene Dianion"Chemical & Pharmacentical Bulletin. 48(4). 537-541 (2000)
-
[Publications] B.Uno,N.Okumura,M.Goto,K.Kano: "n-σ Charge-Transfer Interaction and Molecular and Electronic Structural Properties in the Hydrogen-Bonding Systems Consisting of p-Quinone Dianions and Methyl Alcohol"Journal of Organic Chemistry. 65(5). 1448-1455 (2000)
-
[Publications] B.Uno,N.Okumura,K.Seto: "Bistable Charge-Transfer Complex Formation of Redox-Active Organic Molecules Based on Intermolecular HOMO-LUMO Interaction Controlled by the Redox Reactions"The Journal of Physical Chemistry A. 104(13). 3064-3072 (2000)
-
[Publications] Y.Esaka,N.Okurmura,B.Uno,M.Goto: "Non-aqueous Capillary Electrophoresis of p-Quinone Anion Radicals"Analytical Sciences. 17. 99-102 (2001)
