1999 Fiscal Year Annual Research Report
回転異性ポルフィリン亜鉛の軸配位錯形成における分子確認
Project/Area Number |
11672149
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
畑野 研一郎 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (00080185)
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Keywords | 亜鉛ポルフィリン / ポルフィリン回転異性体 / 分子確認 / X線結晶構造解析 / 絶対構造 / 光学異性 |
Research Abstract |
1.課題の(オルト置換アリル)mポルフィリン(m=2,3)の合成については,置換基を-NO_2,-OCH_3,-CH_3,-Brとするポルフィリンを調製した。その際全部で13種生成する回転異性体をクロマトグラフィーによって分離を試みたが後2者の場合は分離不能であった。よって前2者に対象を絞り、光学異性体を生じるべく設計した回転異性体(m=2,3)の分離・精製を試みた。また研究助成された分光蛍光光度計を用いて蛍光測定したがニトロ基を含むポルフィリンは蛍光が消光され,一方メトキシ基の場合は赤色蛍光を示すが分離操作過程で減光してゆくことを認めた。中心金属として亜鉛を導入した異性体についても同様に分離し精製をした。亜鉛錯体で数種の異性体がほぼ単品で得られた。 2.単品で得られた亜鉛錯体について軸配位子をピリジンとしたスペクトル滴定からその配位平衡定数を求めた。その値は対照としたZnTPPと比べ共に基本的には大きくなった。このことは配位におけるポルフィリン分子面の認識において、これら置換基がピリジンに対して親和的に作用していることを示唆した。さらに光学異性体の分割能と関連してニコチンの配位を検討し、亜鉛ポルフィリンに配位することを証明した。 3.2.の実験と平行して単品で得られるもの、未分離のものに関わらずポルフィリン亜鉛錯体の結晶化実験を行い、いくつかの亜鉛異性体の単結晶を得た。X線結晶構造解析が可能であったニトロの異性体は2個のニトロ基がポルフィリン面の同じ側にあるものであり、ピリジンがその面側から配位している5配位構造であることが確認された。これにより軸配位子により分子面の認識が出来ることを証明した。ニコチンを軸配位子とした不斉な亜鉛ポルフィリン回転異性体の結晶化も試験中である。
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