2000 Fiscal Year Annual Research Report
増殖細胞核抗原(PCNA)とDNA複製・修復因子との相互作用の解析
Project/Area Number |
11672156
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森岡 弘志 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (20230097)
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Keywords | PCNA / FEN-1 / DNA 複製 / DNA 修復 / 5'flap DNA / 部位特異的変異導入法 / 活性促進効果 |
Research Abstract |
PCNAは,真核細胞のDNA複製に関与するDNAポリメラーゼδ(polδ)のprocessive DNA合成に必須の補助因子であり,複製因子C(RFC)のDNA依存性ATPase活性を促進することが知られている.また,紫外線照射により損傷を受けたプラスミドを鋳型とした無細胞ヌクレオチド除去修復系による実験から,ヌクレオチド除去修復因子の1つとしても示唆されている.さらに,サイクリン依存性キナーゼの阻害因子であるp21やGADD45,DNA複製および修復の両方に関与するFEN-1,クロマチンアセンブリーファクターCAF-1,維持型DNAメチル化酵素として知られているDnmt1等に結合することが報告される等,PCNAはDNA上で起こる各種反応の制御機構に重要な役割を果たしていると考えられている.本研究の代表者は,PCNAが関与するDNA修復の分子機構の解明を目的として,組換え型ヒトPCNA変換体を用いて,特にFEN-1との相互作用の解析を行っている.以下に,今年度得られた新たな知見等の成果を示す. 部位特異的変異導入法によりPCNAの21番目のアスパラギン酸をグルタミン酸,アスパラギンまたはアラニンに置換したPCNA変異体を用い,2本鎖から1本鎖が枝分かれしたブランチ構造を持つDNA(5′flap DNA)を基質として,FEN-1のヌクレアーゼ活性を解析したところ,グルタミン酸変異体では野生型同等の活性促進効果がみられたものの,アスパラギンならびにアラニン変異体では野生型の10〜30%の活性促進効果しか見られなかった.この結果から,FEN-1のエンドヌクレアーゼ活性促進にはPCNAの21番目のアスパラギン酸の持つ負電荷が重要である可能性が示唆された.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Torizawa T.: "DNA binding mode of the Fab fragment of a monoclonal antibody specific for cyclobutane pyrimidine dimer."Nucleic Acids Res.. 28. 944-951 (2000)
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[Publications] Ling F.: "A role for MHR1, a gene required for mitochondrial genetic recombination, in the repair of damage spontaneously."Nucleic Acids Res.. 28. 4956-4963 (2000)