1999 Fiscal Year Annual Research Report
インターロイキン1による脳虚血障害増悪作用の機序を解明する
Project/Area Number |
11672161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西山 信好 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (20201692)
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Keywords | インターロイキン1 / 海馬 / マイクログリア / 神経細胞 / 培養 |
Research Abstract |
これまでの研究代表者は,培養海馬切片におけるN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)興奮毒性による神経細胞死に対し,内因性インターロイキン1(IL-1)が神経細胞死を促進する作用をもつことを示唆してきた。そこで本年度の研究では内因性IL-1の遊離を確認するために,培養海馬切片を50μM NMDAへ曝露し,その1,3,6,24時間後の培地中のIL-1濃度を測定した。IL-1測定は,IL-1依存性増殖能を有するマウス胸腺T細胞株D10(N4)M細胞の増殖活性を指標としたIL-1バイオアッセイ法にて行った。その結果,対照群ではどの時点においてもIL-1濃度に変化は認められなかったが,NMDA曝露群では曝露後からIL-1の遊離が始まり,6時間後に最大値を示した。NMDA曝露後の培地中のIL-1濃度変化と,神経細胞死の経時変化と比較すると,IL-1は神経細胞死に先立って遊離され,神経細胞死に寄与していることが示唆された。 そこで,IL-1の由来を明らかにするために,培養海馬神経細胞及び培養マイクログリアを用い,NMDA曝露により遊離される内因性IL-1の測定を試みた。 胎生16日齢マウス由来の海馬神経細胞を培養7日目に500μM NMDAに15分間曝露し,その24時間後の培地中IL-1濃度を測定した。しかし,培養海馬神経細胞のみの培養系では対照群,NMDA曝露群共に,培地中にIL-1は検出されなかった。 生後1〜2日齢マウス由来の培養マイクログリアに対しても同様に500μM NMDA曝露を行い,その24時間後の培地中IL-1濃度を測定した。その結果,対照群に比べ,NMDA曝露群では,培地中IL-1濃度は有意に上昇していた。 これらの結果から,NMDA曝露により遊離されるIL-1は神経細胞ではなく,少なくとも一部はマイクログリア由来であることが示された。
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