2000 Fiscal Year Annual Research Report
インターロイキン1による脳虚血障害増悪作用の機序を解明する
Project/Area Number |
11672161
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Research Institution | GRADUATE SCHOOL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES, THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
西山 信好 東京大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (20201692)
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Keywords | インターロイキン1 / 海馬 / マイクログリア / 神経細胞 / 培養 |
Research Abstract |
これまで研究代表者は,培養海馬切片にN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)を与えるとマイクログリアからインターロイキン1(IL-1)放出され,神経細胞死が促進されることを明らかにしてきた。IL-1による神経細胞死の機序として,アラキドン酸代謝系の寄与が考えれらたので,本年度の研究では培養海馬切片に酸素・グルコース除去(oxygen-glucose deprivation:OGD)誘発細胞死に対するアラキドン酸代謝系の役割を検討した。生後9日齢のラットより海馬切片を作成し,培養12-13日目に35分間のOGD負荷を与えたところ,CA1錐体細胞層に部位特異的な細胞死が認められた。また,30分以下の負荷では細胞死は誘発されず,40分以上のOGD負荷ではCA3野を含む錐体細胞層に非特異的な細胞死が観察された。また,35分間のOGD負荷により錐体細胞層のフォスフォリパーゼA_2(PLA_2)活性の増加も認められた。非選択的PLA2阻害剤BPBはこのOGD負荷によるPLA2活性上昇を抑制するとともに神経細胞死を抑制した。以上の結果から,OGD負荷によるPLA_2の活性上昇が神経細胞死の誘発に関与する可能性が示唆された。また,OGD負荷直後からPLA_2活性の上昇を認めたことから,OGDによるPLA2活性の上昇に常在型である細胞質PLA_2(cPLA_2)の関与が考えられた。実際に,OGDによるPLA_2の活性上昇はcPLA_2選択的阻害剤AACOCF_3で抑制され,分泌型PLA_2選択的阻害剤LY311727では抑制されなかった。以上の結果より,アラキドン酸代謝系が海馬の虚血性神経細胞死に深く関与するものと考えられた。
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