1999 Fiscal Year Annual Research Report
神経損傷時のニューロン-ミクログリア間情報伝達におけるフラクタルカインの役割
Project/Area Number |
11672167
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 雅文 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (20243040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮武 伸一 京都大学, 医学研究科, 講師 (90209916)
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Keywords | ミクログリア / ケモカイン / サイトカイン / 脳虚血 / 神経細胞死 |
Research Abstract |
これまでに膜結合型ケモカインであるfractalkineとその受容体CX3CR1のラット脳内における遺伝子発現分布および発現細胞種を明らかにし、脳内においてfractalkineが神経細胞からミクログリアへのシグナル伝達分子である可能性を示してきた。今年度は、一過性前脳虚血負荷後のラット脳内におけるfractalkine mRNA発現をin situ hybridization法により検討し、脳虚血負荷後に神経変性を破りやすい大脳皮質外錐体細胞層、海馬CA1野錐体細胞層および視床外側腹側核においてfractalkine mRNAレベルが顕著に低下することを見出した。一方、CX3CR1 mRNAの発現は脳虚血負荷後3日と7日において、上述のfractalkine mRNAレベルの顕著な低下が観察された脳部位において逆に著しく増大することを見いだし、さらに、その発現はミクログリアに局在することをdouble in situ hybridization法により明らかにした。さらに一過性前脳虚血負荷ラットの側脳室内にfractalkineを反復投与し、fractalkineの海馬神経細胞死およびミクログリア活性化に対する効果を検討した結果、vehicle反復投与群に比較し、海馬CA1野およびCA3野において錐体細胞の神経細胞死が増悪されたことに加え、より多くの活性化ミクログリアが観察された。以上の結果から、脳虚血負荷後の脳内において、fractalkineが神経変性部位で観察されるCX3CR1 mRNA陽性のミクログリアの集積・活性化に関与し神経細胞死を増悪する方向に働いている可能性が示唆された。さらに、個体レベルでの研究を推進するため、脳内へのfractalkine遺伝子導入のためのウイルスベクターを構築した。ウイルスの取り扱いのため本年度の研究費で購入した安全キャビネットを使用した。
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Research Products
(1 results)