1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11672170
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
黒川 知則 広島大学, 医学部, 助教授 (00124793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫨木 修 広島大学, 医学部, 教授 (80142751)
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Keywords | 老化 / 老化促進モデルマウス / SAMP8 / インスリンシグナル伝達系 / PI3-キナーゼ / チロシンリン酸化タンパク質 / 血糖値 / エネルギー消費 |
Research Abstract |
申請者は、老化制御においてインスリンシグナル伝達系が重要な役割を果たしているという観点から、老化促進モデルマウス(SAM)の一系統であるSAMP8を研究対象にして個体老化の機構解明を試みてきた。 本年度は、SAMP8におけるインスリン作用を精査するための基礎検討として、血糖値に関して加齢変化および絶食の影響を検討した。自由摂食下において15週齢SAMP8および対照マウス(SAMR1)の血糖値を測定したところ、それぞれ13.8±0.8mM(n=8)と12.8±0.4mM(n=8)であった。しかし絶食6hr後に測定した場合、SAMP8(6.4±0.4mM)の方がSAMR1(8.9±0.5mM)に比して低下率が大きいことが示された。この結果は、以前報告したインスリン投与の場合に見られた両系統間の相違と同様であり、SAMP8のエネルギー消費系がインスリン刺激や絶食により亢進することが推察された。さらに絶食後の血糖値の変動に関する両系統間の相違は、若齢期(5週齢前後)では認められず10週齢以降で見られる現象であることも明らかとなった。これらの結果からSAMP8のエネルギー消費系の亢進と促進老化との関連が示唆されたが、詳細は来年度に継続して検討する予定である。次に16週齢のSAMを用いて、脂肪細胞におけるチロシンリン酸化タンパク質レベルおよびインスリンレセプターの発現量をウェスタン解析により検討したが、両系統間に顕著な相違は認められなかった。また細胞老化の機構解析のため、申請備品として購入した炭酸ガスインキュベータを用いてSAMP8の新生仔大脳からグリア細胞の初代培養系の確立に成功し,SAMR1由来のグリア細胞に比して増殖能が低下していることを明らかにした。来年度もSAMP8由来のグリア細胞における増殖能の低下について、PI3-キナーゼの関与を中心に検討する予定である。
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