2000 Fiscal Year Annual Research Report
ドコサヘキサエン酸による血管細胞機能修飾機序に関する分子薬理学的研究
Project/Area Number |
11672177
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
平藤 雅彦 北海道医療大学, 薬学部, 助教授 (20142987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜上 尚也 北海道医療大学, 薬学部, 助手 (70221504)
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Keywords | ドコサヘキサエン酸 / 血管平滑筋細胞 / 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / シクロオキシゲナーゼ-2 / 遺伝子発現 / ラット |
Research Abstract |
本研究の目的はドコサヘキサエン酸(DHA)の循環器疾患に対する予防薬あるいは治療薬としての有用性を明確にするために、脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)と対照動物のウィスター系京都ラット(WKY)由来培養血管平滑筋細胞および内皮細胞の細胞内カルシウム代謝と一酸化窒素(NO)産生に対するDHAの影響とその作用機序を分子薬理学的に検討することであった。平成11年度までの研究で、SHRSPではWKY由来血管平滑筋細胞に比べてNO産生が低下していること、WKY由来血管平滑筋細胞においてDHA及びEPAはIL-1β刺激によるNO産生、iNOS誘導を促進するが、アラキドン酸はNO産生に対してはむしろ抑制することが明らかとなった。そこで、前年度において実験条件の検討段階であったiNOS mRNA発現のRT-RCP法を確立し、多価不飽和脂肪酸の影響を比較検討したところ、IL-1β刺激によるiNOS mRNA発現はWKYとSHRSP由来細胞間で差は認められないこと、WKY由来細胞においてDHA及びEPAはその発現を促進すること、SHRSP由来細胞ではその作用が認められにくいことなどが明らかになった。また、前年度において、NO産生系とともに循環調節に重要なアラキドン酸代謝系についても検討し、シクロオキシゲナーゼ(COX)-1は変化しないが、誘導型酵素であるCOX-2蛋白発現がDHA処理において増加することも明らかにした。そこで、COX-2 mRNA発現に対する多価不飽和脂肪酸の影響についても検討したところ、IL-1β刺激によるCOX-2 mRNA発現はWKYとSHRSP由来細胞間で差は認められないこと、DHAはその発現に対してはWKY及びSHRSP由来細胞においても有意な影響を示さないことが明らかになった。従って、DHAはiNOS遺伝子の転写以前で促進作用を示し、COX-2遺伝子には転写以後で促進作用を示すことが示唆された。また、SHRSPではこれら誘導型酵素の転写以後の過程に障害があり、このことがSHRSPの病態に関連しているものと考えられた。
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[Publications] Hirafuji,M.: "Effect of docosahexaenoic acid on nitric oxide production by vascular smooth muscle cells isolated from WKY and SHRSP"Clinical and Experimental Hypertension. 22(4). 349-350 (2000)
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[Publications] Hirafuji,M.: "Intraellular regulatory mechanisms of 5-HT release from enterochromaffin cells in intestinal mucosa"Biogenic Amines. 16(1). 29-52 (2000)
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[Publications] 平藤雅彦: "ドコサヘキサエン酸はなぜ循環器疾患に有効なのか-血管平滑筋細胞機能との関連"北海道薬剤師会雑誌. 18(1). 30-35 (2001)