1999 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量ストレスタンパク質の中枢神経における機能解析
Project/Area Number |
11672181
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
沼澤 聡 昭和大学, 薬学部, 助教授 (80180686)
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Keywords | ストレス / 熱ショックタンパク質 / ヘムオキシゲナーゼ / 中枢神経 / 4-ヒドロキシノネナール / プロティンキナーゼC / HSP27 |
Research Abstract |
本研究は、細胞・分子レベルでの機能解析が進んでいない低分子量ストレスタンパク、特にヘムオキシゲナーゼとHSP27に着目し、これらの中枢神経系における機能を明らかにすることを目的とした。本年度は、ヘムオキシゲナーゼ(HO-1)とHSP27をコンディショナルに発現するラット副腎褐色細胞腫PC12細胞を用いて、これら低分子量ストレスタンパクの細胞保護機能を検討した。血清除去によるアポトーシス様の細胞死をHSP27は顕著に抑制したが、HO-1を発現させた場合は明らかな細胞保護効果は認められなかった。また、酸化ストレスや遺伝子毒性を示す薬物に対する低分子量ストレスタンパクの作用を検討したが、いずれの場合も明らかな細胞保護作用は認められなかった。現在、HO-1の酵素反応により生成する鉄が細胞保護作用を相殺する可能性を検討中である。 一方、同一のストレスが多くのストレスタンパタを誘導し、異なるストレスが、同一のストレスタンパクを誘導することから、シグナルのクロストークが予想される。そこで、細胞内グルタチオンを特異的に低下させるホロンでヒト繊維芽細胞WI-38を処置する酸化ストレスモデルを用いてストレスタンパク誘導にいたる細胞内伝達系を調べ、ストレスシグナルのクロストークを明らかにすることを目的とした。本酸化ストレスモデルでは、n-6系不飽和脂肪酸の最終分解産物である4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)が一過性に増加した。外来性に添加した生理的に到達しうる濃度(10μM)の4-HNEは、c-fosやHOをホロンと同様の経時推移で誘導した。さらに、特異的阻害剤を用いた解析によりホロンと4-HNEはいずれもaPKCを中心的なシグナル伝達分子として利用することが判明した。次年度では、さらに他のストレスタンパク誘導にいたる情報伝達に4-HNEがセカンドメッセンジャーとして関与するかどうかを検討する。
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Research Products
(1 results)