1999 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトマウスによる炎症性サイトカインの酸化的ストレス応答での役割の解明
Project/Area Number |
11672183
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
小黒 多希子 昭和大学, 薬学部, 助手 (10185572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 武美 昭和大学, 薬学部, 教授 (20138415)
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Keywords | 酸化ストレス / ヘムオキシゲナーゼ / サイトカイン / LPS / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
サイトカインは他の細胞を活性化し新たなサイトカイン等を産生することによりいわゆるサイトカインネットワークと細胞間相互反応の連鎖を形成することから、個々のサイトカインの標的細胞での機能を明確にすることは容易でない。そこで本研究は、IL-1α/β(IL-1)、TNFαおよびIL-6それぞれのノックアウトマウスを用いることにより、個々のサイトカインの標的細胞での酸化的ストレス応答における役割を主にHO-1を指標として主に肝臓を中心に比較検討した。用いた酸化ストレス刺激としては、グルタチオン低下剤であり、強力なHO-1誘導剤であるphoroneと、その刺激により様々なサイトカインが産生されるリポポリサッカライド(LPS)を用いた。PhoroneによるHO-1誘導をIL-1KOマウスの肝臓、肺、腎臓で検討したところ、HO-1mRNA量増加は肝臓で野性型マウスにくらべ、わずかに減少した。肺や腎臓ではその差が大きくなり、IL-1KOマウスではphoroneによるHO-1mRNA増加の程度が小さくなった。このことより、肝臓ではグルタチオン低下が直接的なHO-1誘導の引き金となっているが、グルタチオン含量の少ない他の臓器では、急激なグルタチオン低下の結果、IL-1などの炎症性サイトカインが産成され、その結果HO-1誘導が導かれている可能性が示唆された。LPSによるHO-1誘導をIL-1KO、TNFαKO、およびIL-6KOマウス肝臓を用い比較検討した。その結果、IL-6KOは野生型マウスと同程度のHO-1誘導能を有すること、IL-1KOマウスは80%程度であること、さらにTNFαKOはほとんど誘導しないことが明らかになった。このことより、従来より言われているIL-1でなく、TNFαがLPSによるHO-1遺伝子発現に大きく関与していることが明らかになった。
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