1999 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖因子による血管内皮細胞プロテオグリカン分子種の合成調節
Project/Area Number |
11672194
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
鍛冶 利幸 北陸大学, 薬学部, 助教授 (90204388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 泰之 北陸大学, 薬学部, 助手 (40247482)
山本 千夏 北陸大学, 薬学部, 助手 (70230571)
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Keywords | 血管内皮細胞 / プロテオグリカン / パールカン / ビグリカン / トランスフォーミング増殖因子 / コア蛋白 / ヘパラン硫酸 / デルマタン硫酸 |
Research Abstract |
今年度は結合組織増殖因子による調節の基礎的知見を得る目的で,トランスフォーミング増殖因子β(TGF-beta)による内皮細胞プロテオグリカン合成の調節を検討した。ウシ大動脈内皮細胞を培養しTGF-beta存在下で35S-硫酸あるいは35S-アミノ酸で代謝標識した。放射活性なプロテオグリカンを生化学的手法を用いて解析し,以下の結果を得た。(1)TGF-betaは細胞密度が高い場合は,細胞層と培地に蓄積したグリコサミノグリカンが共に増加したが,細胞密度が低い場合は培地に蓄積したグリコサミノグリカンのみが増加した。(2)このような変化はTGF-beta中和抗体によって完全に消失した。(3)細胞数および蛋白合成はTGF-betaによって変化しなかった。(4)DEAE-Sephacel陰イオン交換クロマトグラフィーで35S-硫酸標識プロテオグリカンを分離したところ,TGF-betaは,細胞密度が高い場合には細胞層のヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPGs)および培地のコンドロイチン/デルマタン硫酸プロテオグリカン(CS/DSPGs)を増加させ,細胞密度が低い場合は培地のコンドロイチン/デルマタン硫酸プロテオグリカンのみを増加させていた。(5)高細胞密度の細胞層から得たHSPGsはSepharose CL-4Bクロマトグラフィーで高分子量型および低分子量型サブクラスに分離されたが,TGF-betaは両方のサブクラスの放射活性を増加させた。(6)培地のCS/DSPGsも二つのサブクラスに分離されたが,高細胞密度由来の低分子量サブクラスはTGF-betaによってそのhydrodynamicsizeが増加していた。(7)Sepharose CL-6Bによる分析の結果,高細胞密度由来の培地のCS/DSPG低分子量サブクラスでのみグリコサミノグリカンの伸長がTGF-betaによって起こっていた。(8)SDS-PAGEおよびWesternblot分析によるコア蛋白の分析の結果,TGF-bateは細胞密度が高い場合にはHSPGsの大型分子種パールカンおよびCS/DSPGsの小型分子種ビグリカンの合成を促進し,細胞密度が低い場合にはビグリカンの合成のみを促進することが分かった。以上よりTGF-betaが内皮細胞プロテオグリカン合成を細胞密度依存的に調節することが明らかになった。
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Research Products
(1 results)