2001 Fiscal Year Annual Research Report
中脳ドパミン神経細胞株の樹立と線条体由来神経栄養因子の探索
Project/Area Number |
11672196
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
金田 典雄 名城大学, 薬学部, 教授 (00144139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
疋田 清美 名城大学, 薬学部, 助手 (30257654)
村田 富保 名城大学, 薬学部, 助手 (80285189)
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Keywords | パーキンソン病 / トランスジェニックマウス / 不死化細胞 / 副腎髄質 / ドパミン細胞 / 神経栄養因子 / 脳内細胞移植 |
Research Abstract |
パーキンソン病は中脳黒質から線条体に投射するドパミン神経の選択的な変性、脱落に伴うドパミン代謝異常であるが、この選択的細胞死のメカニズムを明らかにするためには黒質ドパミン神経の表現型を保持した細胞株の樹立が極めて重要である。黒質のドパミン神経は数も少なくこれを特異的に株化することは一般に困難であるが、本研究ではカテコールアミン細胞特異的な遺伝子プロモーターと細胞を不死化させるための癌遺伝子の発現を組み合わせた発生工学的手法によるカテコールアミン細胞の株化を試みた。これまでにヒトチロシン水酸化酵素(TH)遺伝子プロモーター領域に癌遺伝子であるSV40T抗原温度感受性変異株の遺伝子を連結したDNAを導入したトランスジェニック(Tg)マウスを作製し、このTgマウスは数カ月以内に副腎に腫瘍を形成することを見出している。 平成11、12年度は、この腫瘍組織からクロマフィン細胞を株化すること、ならびに培養条件の検討を行った。このようにして単離したtsAM5D細胞はドパミンのみを産生するドパミン産生細胞であり、33℃でではTHと導入したSV40T抗原を共発現していることが明らかとなった。 平成13年度は、tsAM5D細胞について、栄養因子依存性を検討した。その結果、tsAM5D細胞はNGFやNT-3にはほとんど栄養因子依存性を示さないのに対し、CNTFとFGF-2に強く反応し、両者の存在下、33℃で培養すると活発に増殖することを見いだした。また、39℃では栄養因子非存在下では細胞は3日以内に死滅するのに対し、CNTFとFGF-2存在下では、3日間、増殖した後、著しい突起の伸長が見られた。蛍光免疫染色の結果、このような細胞は神経細胞特異的なニューロフィラメントやMAP2の発現が増加しており、神経細胞様に分化していることが明らかになった。 今後、tsAM5D細胞を用いて、線条体由来神経栄養因子についてのスクリーニングを行う一方、MPTP誘発パーキンソンモデルマウスの線条体への脳内移植をこころみる予定である。
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