2000 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学的手法による薬物代謝酵素発現の臓器相関に関する研究
Project/Area Number |
11672211
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
安原 眞人 東京医科歯科大学, 医学部・附属病院, 教授 (00127151)
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Keywords | 臓器相関 / 薬物代謝 / ロサルタン / 急性腎不全 / 薬物体内動態 |
Research Abstract |
薬物体内動態の個体差は、薬物治療の成否を左右する重大な問題である。なかでも薬物代謝活性には著しい個体差が認められ、定量的な評価・予測法の確立が求められている。本研究は、臓器相関の観点から代謝・排泄など薬物体内動態の変動因子を明らかにし、遺伝子工学的手法による代謝活性の評価法の構築を目的とする。 アンジオテンシンII受容体拮抗薬ロサルタンを2種類の急性腎不全モデルラットに投与し、血清中の未変化体および活性代謝物のカルボン酸体濃度を経時的に測定した。ロサルタン10mg/kgを経口投与時の血清中未変化体濃度は投与後4時間以降、硝酸ウラニル処置群で対照群に比し高値を示し、AUCは有意に増大した。一方、代謝物濃度は対照群に比し低値を示した。ロサルタン2mg/kgを静脈内投与した場合、硝酸ウラニル処置群では投与後2時間以降の血清中未変化体濃度が対照群に比し有意な高値を示し、未変化体の血清中からの消失遅延が認められ、ロサルタンの全身クリアランスは、対照群に比し低下した。両側の尿管結紮により作成した腎疾患モデルラットにロサルタンを静脈内投与した場合も、同様に未変化体の消失遅延が認められた。さらに、腎疾患モデルラット肝臓から調製したミクロゾーム画分では、ロサルタン代謝物の生成速度の低下が認められた。これらの結果は、腎疾患による肝臓の薬物代謝系の変動を示すものであり、臓器相関の考え方の重要性が示唆された。 また、N-アセチルプロカインアミドの体内動態を種々の腎疾患モデルラットで検討した結果、本薬の尿中排泄が腎障害の影響を受け、その予測には内因性有機カチオンであるN-メチルニコチンアミドの腎クリアランス値の利用が有効であることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)