2000 Fiscal Year Annual Research Report
高親和性カルニチントランスポーターの機能特性と薬物誘導型毒性発症機構との関連
Project/Area Number |
11672212
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Research Institution | KANAZAWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
玉井 郁巳 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (20155237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 彰 金沢大学, 薬学部, 教授 (10019664)
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Keywords | カルニチン / トランスポーター / OCTN / カルニチン欠乏症 / 有機カチオン / 薬物 / 再吸収 / 能動分泌 |
Research Abstract |
カルニチン欠乏症は、最終的には心機能異常など致死的症状を示す病態である全身性カルニチン欠乏症の原因となり、また臨床的な薬物投与による同様の症状発症が二次性カルニチン欠乏症と呼ばれ薬物副作用として問題となる。本研究では薬物誘導型カルニチン欠乏症におけるOCTN2の寄与の可能性について、腎を中心とした臓器におけるOCTN2の役割について有機カチオン輸送や薬物によるOCTN2機能変動について解析を行うことにより、OCTNトランスポーターの生理的・薬物動態的役割についてより詳細な解析を行うことを目的とした。OCTN2は、カルニチンをNa^+依存的に、有機カチオンの一種であるテトラエチルアンモニウム(TEA)をNa^+非依存的に輸送した。即ち、OCTN2が存在する腎臓においては、カルニチンはNa^+を駆動力とした再吸収にOCTN2が働くが、有機カチオン輸送にとっては、尿細管分泌機構としての関与が示唆された。そこでOCTN2遺伝子変異を有するjvsマウスを用いたTEAの体内動態解析を行ったところ、尿細管分泌の半分程度がOCTN2を介していることが示唆された。現在、腎尿細管上皮細胞管腔側細胞膜トランスポーターの実体は不明であり、OCTN2は初めて管腔側有機カチオントランスポーターの分子的実体として示されたものである。マウスOCTN2を用いた解析では、有機カチオン輸送とカルニチン輸送が相互にtrans-stimnulation効果を示した。即ち、一つのトランスポーター分子が基質によって異なるメカニズムで物質輸送に働くことを示しており、合目的で効率的なトランスポーターとして位置づけられる。また、OCTN2が薬物認識性を有していることから、OCTN2を介した薬物とカルニチンの相互作用が生じ、その結果として薬物誘導型カルニチン欠乏症が生じることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mayatepek,E.: "Two novel missense mutations of the OCTN2 gene (W283R and V446F) in a patient with primary systemic carnitine deficiency"Human Mutation (on line). 15・1. 118 (2000)
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[Publications] Tamai,I.: "Molecular and functional characterization of carnitine/organic cation transporter family in mice"J.Biol, Chem.. 275・51. 40064-40072 (2000)