1999 Fiscal Year Annual Research Report
代謝性キレート試薬の設計を基盤とするポリペプチド放射性医薬品の標的指向化
Project/Area Number |
11672214
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
荒野 泰 千葉大学, 薬学部, 教授 (90151167)
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Keywords | ポリペプチド / 核医学画像診断 / インジウム-111 / DOTA / トランスフェリン / 腎臓 / 刷子縁膜酵素 / 二官能性キレート試薬 |
Research Abstract |
本研究では,金属ラジオアイソトープ標識低分子ポリペプチドの生体内への投与で観察される腎臓での長時間に渡る放射能滞留の解消を目的として,新しい二官能性キレート試薬の開発を計画した.すなわち,金属ラジオアイソトープとして低分子ポリペプチドの標識に適した半減期,放射線のエネルギーを備えたインジウム-111(In)を選択し,血液中では母体ポリペプチドと安定な結合を維持するが,腎臓においては近位尿細管刷子縁膜酵素の作用により母体ペプチドから尿排泄性のIn錯体を遊離する標識試薬の開発を行う. Inは3価の鉄と良く似た化学的性質を有することから,生体内,とりわけ血液中でトランスフェリンとの交換反応に対して安定なIn錯体を与える配位子の選択が重要である.本年度は,この点に焦点を絞り,Inと生体内で安定な錯体を形成する1,4,7,10-tetraazacyclododecane-N,N',N",N'"-tetraacetic acid(DOTA)を基本骨格に選択し,母体タンパク質の架橋を生成せず,簡便な操作でタンパク質との結合が可能となるようDOTAの1つのカルボン酸を活性エステル構造に変換した化合物(mDOTA)を設計,合成した.次いで,mDOTAを用いでIn標識タンパク質を作製し、生体内での安定性を検討した.その結果,mDOTAはトランスフェリンとの交換反応に対して安定なIn標識タンパク質を与えることが明らかとなった.しかし,mDOTAはDOTAに比べて,In錯体の生成には高濃度の配位子が必要であることが示された. 以上の研究成果を基礎として,来年度においても,二官能性キレート試薬の基本キレート構造についてさらに検討を進める予定である.
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