1999 Fiscal Year Annual Research Report
機械的刺激によるATP遊離のメカニズムとその生理的役割に関する研究
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11672221
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
国友 勝 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (40125133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠塚 和正 武庫川女子大学, 薬学部, 助教授 (50117777)
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Keywords | ATP / ラット尾動脈 / 機械的刺激 / カルシウムイオン / 培養内皮細胞 / 低浸透圧 / 細胞体積膨張 |
Research Abstract |
ラット尾動脈内皮細胞におけるATP遊離機構とメカノレセプター(機械的刺激受容器)の関連性について,画像解析装置および,ATP可視化技術を用いて,以下の点について検討した。 1.ATPの遊離に対する伸展刺激の影響: 血管組織標本(ラット尾動脈)に様々な張力(0.l〜2.0g)の伸展刺激を加えたが、ATPの遊離に対する影響は認められなかった。 2.ATPの遊離に対する外液浸透圧変化の影響: (1)血管組織標本およびラット尾動脈培養内皮細胞において、外液を低張性にすることにより、[Ca^<2+>]iの上昇とATPの著明な遊離が観察された。 (2)培養内皮細胞において、[Ca^<2+>]iはATP(10^<-6>M)により上昇し、この上昇はプリン受容体(P2受容体)拮抗薬であるsuramin(10^<-4>M)により消失した。 (3)外液を低張性にすることにより観察された[Ca^<2+>]iの上昇は、suraminによっては全く影響されなかった。また、suramin自身の影響は認められなかった。 (4)低浸透圧刺激による[Ca^<2+>]iの上昇とATPの遊離は、細胞内のカルシウムイオンをキレートするBAPTA-AM(10^<-6>M)により完全に抑制された。 以上の結果から、低浸透圧刺激により惹起される[Ca^<2+>]iの上昇は、遊離された内因性ATPによるものではなく浸透圧の低下に伴う細胞体積の変化、即ち機械的刺激に起因することが明らかにされた。さらに機械的刺激に応答するATP遊離機構には[Ca^<2+>]iの上昇が深く関与していることが示唆された。本結果は、第8回バイオイメージング学会にて発表した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ishii-Nozawa R.et al.: "Participation of cAMP in the facilitatory action of APPCP on the noradrenaline release from rabbit ear artery."Life Science. 65. 2743-2753 (1999)
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[Publications] 野澤玲子、他: "ウサギ耳動脈におけるプリン作動性ノルエピネフリン遊離促進機構に関する研究"薬学雑誌. 119. 417-428 (1999)
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[Publications] Kwon Y.M.et al.: "Both of the extracellular ATP and shear stress regulate the release of nitric oxide in the rat caudal artery"Clinical and Experimental Pharmacology and Physiology. 26. 465-469 (1999)
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[Publications] Hashimoto M.et al.: "The hypotensive effect of DHA is associated with the enhanced release of ATP from the caudal artery of aged rats"The Journal of Nutrition. 129. 70-76 (1999)
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[Publications] Hashimoto M.: "Hypotension induced by exercise is associated with enhanced release of adenyl purines from aged rat artery"American Journal of Physiology. 276. H970-H975 (1999)