1999 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン類による毒性発現の制御分子と動物種差に関する研究
Project/Area Number |
11672225
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 芳樹 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (80292019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有吉 範高 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (00243957)
藤田 健一 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (60281820)
中山 佳都夫 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (20261323)
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Keywords | 芳香族炭化水素受容体 / 異物応答配列 / DNAのメチル化 |
Research Abstract |
研究目的 : ダイオキシンや3-メチルコランスレンなどの芳香族炭化水素(AH)は、環境中に存在する毒性物質の代表であり、ホルモン撹乱物質として注目されている化学物質である。AHは、生体内に入ると芳香族炭化水素受容体(AhR)と結合し、さらに標的配列である異物応答配列(XRE)に結合することで、遺伝子の発現を調節していると考えられている。我々は、これまでAhRとXREの結合に対し、抑制的に働く因子、USF1を見いだした。そこで、本研究では、AhRの作用に抑制的に働く、USF1以外の因子や分子機構を探索することを目的とした。 研究実績 : 1.AhRとXREの相互作用を抑制する核内転写因子の探索 : 我々は、モルモットのDT-ジアホラーゼ遺伝子の上流に存在するXRE配列には、AhR以外の因子が結合し、AhRとXREの相互作用を抑制していることを見いだした。この因子を同定するために、モルモットのXRE配列を既知の転写因子の配列と比較したところ、この配列は、転写因子であるE12,E47,Sp1の結合配列と比較的高い相同性を示した。これらの因子に対する抗体を用いてスーパーシフトアッセイを行った結果、この因子には、Sp1が含まれていることが分かった。 2.メチル化を介したAhR応答遺伝子の発現抑制機構の解析 : AhRにより活性化されるヒトCYP1A1遺伝子の上流領域には、多くのメチル化を受ける可能性のあるCpG配列が存在していた。そこで、CYP1A1が誘導されないHeLa細胞を脱メチル化剤であるアザシチジンの存在下で4日間培養し、CYP1A1の誘導能に及ぼす影響を調べた。興味深いことに、脱メチル化剤で処理することにより、HeLa細胞でもAHによるCYP1A1の誘導的発現が認められた。DNAのメチル化もAhRによる遺伝子の活性化を制御していると考えられた。
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[Publications] Eri Inoue,Yoshiki Takahashi, et al.: "Development of bacterial expression system with high yield of CYP3A7, a human fetus-specfic form of cytochrome P450"Biochem. Blophys. Res. Commun.. (in press). (2000)
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[Publications] Yasumasa Sasaki,Yoshiki Takahashi, et al.: "Cooperative regulation of CYP2C12 gene expression by signal transducer and activator of transcription on 5 (STAT5) and liver-specific factor in female rats"J. Biol. Chem.. 274(52). 37117-37124 (1999)