1999 Fiscal Year Annual Research Report
迅速な細菌検出のための蛍光顕微鏡画像解析システムの開発
Project/Area Number |
11672226
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷 佳津治 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (50217113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 正夫 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (90218040)
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Keywords | 多重染色法 / 蛍光抗体法 / 蛍光in situハイブリダイゼーション / 活性染色法 / 特定細菌 / FITC / CTC / cy5 |
Research Abstract |
本年度は,個々の細胞より遺伝情報,抗原性および生理活性に関する情報を同時に得ることを試みた.用いた細菌はEscherichia coli ATCC 43888である.この大腸菌はベロ毒素遺伝子をもたないが細胞表面にO157をもつ株である.本菌のもつリボソームRNAを検出するために蛍光色素cy3で標識したオリゴヌクレオチドプローブを用いた.また細胞表面のO抗原を検出するためにFITC(fluoresceine isothiocyanate)標識した抗O157抗体を用いた.蛍光抗体を反応させた細胞に対しCy3標識されたオリゴヌクレオチドを用いたin situハイブリダイゼーションを行った.これをレーザー顕微鏡で観察したところ,青色励起光下でFITC由来の緑色蛍光が見られた.また同一細胞を緑色励起光下で観察したところcy3由来の赤色蛍光が認められた.すなわち,単一の細胞から系統発生に関する遺伝情報および表面抗原に関する情報を得ることを可能とした.CTC(5-cyano-2,3-ditolyl tetrazolium chloride)は細菌の呼吸により還元され,赤色蛍光を発する.本色素と先に述べた蛍光抗体を用いることにより,呼吸活性をもつ,すなわち生きている大腸菌O157を特異的に検出することを可能とした.次に環境試料として,大阪府を流れる神崎川に設置したスライドグラス上に形成されたバイオフィルムを供した.用いた蛍光色素は,SYBR Green Iおよびオリゴヌクレオチド標識のためのcy3である.In situハイブリダイゼーションののちSYBR Green Iによる染色を行った.レーザー顕微鏡で観察した結果,SYBR Green I由来の蛍光によりバイオフィルム中の全細菌を,またcy3由来の蛍光により16SリボソームRNAを発現している細菌のみを検出することが出来た.
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