2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11672232
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Research Institution | Niigata University of Pharmacy and Applied Life Science |
Principal Investigator |
平岡 昇 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (00025701)
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Keywords | 植物組織培養 / 薬用植物 / 遺伝子源保存 / 冷蔵保存 / オケラ属植物 / ハシリドコロ / 精油 / トロパンアルカロイド |
Research Abstract |
冷蔵培養シュートから復元したクローン薬用植物の植物学的評価並びに含有成分の母植物との定性的・定量的同一性に関する化学的評価を行うことにより,薬用植物のin vitroにおける保存法としての培養シュート冷蔵法の信頼性と汎用性を証明することを目的として本研究を実施して、以下の結果を得た。 1 培養シュートの冷蔵保存による系統維持 ホソバオケラ培養シュートは1992年以来1〜2年間冷蔵した後通常培養条件下で1世代培養し再び1〜2年間冷蔵することにより継代した結果今年度までその培養系統を維持することができた。その他の培養シュートの系統についても冷蔵による系統維持が可能であった。 2 復元植物の栽培実験とその評価の実施 2年間冷蔵したオオバナオケラのシュートから復元した植物の2年目の栽培試験を実施した。非冷蔵シュート由来の対照植物と比較することにより、形態および成分組成に関する2回目の評価を実施した。その結果、形態には変異は観察されず、薬用として用いられる根茎に含まれる精油のガスクロマトグラムパターンおよびその主要成分であるアトラクチロン含量にも有意な差は認められなかった。ハシリドコロについても2回目の栽培試験と収穫した植物の評価を行った。その結果、ハシリドコロの生育指標および根茎中の有効アルカロイド成分であるヒオステアミンとスコポラミンの含量に有意な差は認められなかった。 以上の結果から、薬用植物培養シュートのin vitro保存法は形態学的のみならず化学的な変異を起こさないことが実証され、遺伝子源の中期的な保存法としての信頼性が確かめられた。
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