2001 Fiscal Year Annual Research Report
高蓄積性PCB代謝物メチルスルフォン体の生成機構とその毒性評価
Project/Area Number |
11672234
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Research Institution | Nakamura Gakuen University |
Principal Investigator |
古賀 信幸 中村学園大学, 家政学部, 教授 (80136514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒木 広明 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (60258499)
原口 浩一 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (00258500)
金丸 知代 中村学園大学, 家政学部, 助手 (50291836)
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Keywords | ポリ塩素化ビフェニル / メチルスルホン体 / チトクロムP450 / フラビン含有モノオキシゲナーゼ / 毒性評価 |
Research Abstract |
昨年度までに3-/4-メチルチオ(MeS)-2,5,3',4'-四塩素化ビフェニル(CB70)の動物肝ミクロゾーム(Ms)によるS-酸化反応(MeSO2体の生成)を調べ、本反応に関与するチトクロムP450(P450)として、ラットではCYP1A1、CYP2B1及びCYP2C11が、またハムスターではHPB-1(CYP2B)が、さらにモルモットではCYP2B18が重要であることを明らかにした。そこで本年度はヒトリンパ芽球様細胞系によって発現されたヒト肝P450及びフラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO)を用いて、S-酸化活性を調べた。P450はCYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C9*1、CYP3A4の7種類を、FMOはFMO1、FMO3、FMO5の3種類を使用した。その結果、MeS→MeSOへの反応はCYP1A1、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C9*1及びFMO1によって触媒された。このうち、CYP2B6とCYP2C9*1は、4-MeSO体よりは3-MeSO体の方を多く生成した。またFMOのうち、FMO1は4-MeSO体のみを選択的に生成した。一方、MeSO→MeSO2への反応は、CYP1A1とCYP2C9*1によって触媒された。なお、CYP2C9*1は3-及び4-MeSO2体を同程度生成したが、CYP1A1は4-MeSO2体のみを生成した。これらの結果から、ヒトを含めた動物肝では共通してCYP1A、CYP2B及びCYP2Cサブファミリーに属するP450がMeS体のS-酸化反応に関与しうる可能性が示唆された。また、ある種のヒトFMOもMeSO体の生成に関与しうることが示された。 次に塩素数が1個多い4-MeS-2,5,2',4',5'-五塩素化ビフェニル(CB101)について上記動物肝MsによるS-酸化反応を調べたところ、4-MeS-CB70とほぼ同様の結果が得られた。すなわち、(1)活性の強さはモルモット>ハムスター>ラットの順であること、(2)この活性はフェノバルビタールで強く誘導されること、(3)塩素数が増加したのにCB70より酸化されやすいことが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Kato, K.Haraguchi, S.Yumoto, T.Yamazaki, Y.Nagano, N.Koga, Y.Masuda, R.Kimura: "A metabolite of 2,2',4',5-tetrabromobiphenyl, 3-methylsulfonyl-2,2',4',5-tetrabromobiphenyl, is a potent inducer of CYP2B1/2 in the rat"Xenobiotica. (in press). (2002)
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[Publications] 黒木広明, 米倉さゆり, 迫田智子, 藤野恭子, 中岡ひとみ, 荒牧弘範, 古賀信幸, 西川淳一, 西原 力: "酵母Two-hybrid法によるPCB水酸化体及びPCDF水酸化体のエストロゲン様物質としての評価"福岡医誌. 92. 158-166 (2001)
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[Publications] 古賀信幸, 金丸知代, 大石奈穂子, 加藤善久, 木村良平, 原口浩一, 増田義人: "2,4,5,2',3',4'-六塩素化ビフェニルのin vitro代謝における動物種差"福岡医誌. 92. 167-176 (2001)
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[Publications] H.Kuroki, S.Yonekura, S.Sakoda, H.Aramaki, N.Koga, J.Nishikawa, T.Nishihara: "Assessment of hydroxylated metabolites of PCBs, PCDFs and chlorodiphenyl ethers as potential estrogens by yeast two-hybrid system"Organohalogen Compounds. 53. 80-83 (2001)
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[Publications] N.Koga, K.Haraguchi, T.Kanamaru, N.Oishi, H.Kuroki, Y.Masuda, H.Yoshimura: "Species differences in the in vitro metabolism of 2,2',3',4,4',5-hexachlorobiphenyl"Organohalogen Compounds. 53. 428-431 (2001)