1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子治療基盤技術としてのプラスミドDNA等の細胞内動態特性・有効性評価法の確立
Project/Area Number |
11672258
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 晋作 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (70207728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 一義 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (00028846)
真弓 忠範 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (00098485)
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Keywords | 膜融合リポソーム / 遺伝子治療 / 細胞内動態 / スペルミジン / 細胞内物質導入 |
Research Abstract |
有用性が確保された遺伝子治療法等を確立していく為には、まず細胞を傷つける事なく、効率よく目的遺伝子を細胞内に直接導入できるテクノロジーの開発が必須となってくる。そのうえで、安全性確保の観点から本テクノロジーを用いて目的遺伝子等の「薬物」の細胞内安定性や動態特性、毒性等を評価していかねばならない。我々が開発した膜融合リポソームは、細胞膜との融合により、細胞傷害性を与える事なく、いかなる物質でも細胞内に効率よく導入可能である。本研究では、膜融合リポソームを用いることで細胞内導入物質自身の動態特性・有用性を評価できる基盤技術の確立を試みた。まず、膜融合リポソームの細胞内物質導入ツールとしての安全性・効率などを評価した結果、構成脂質に陽電荷脂質(DC-Chol)を導入することにより、細胞傷害性を示すことなく、他の表面電荷膜融合リポソームよりも約10倍、細胞内物質導入効率が上昇した。導入できる遺伝子のサイズは、単に至適なリポソーム粒子径にするだけで、細胞内に15Kbという比較的大きなサイズの遺伝子をも導入することが可能であり、さらに遺伝子をスペルミジンと共に膜融合リポソーム内に封入することにより、遺伝子封入効率の向上や細胞内遺伝子導入効率の増強、封入遺伝子の安定化が可能となり、その遺伝子発現効率を著しく改善し得ることを明らかにした。また、プラスミドDNAを封入した膜融合リポソームは、非ウイルスベクターとして広く用いられているカチオニックリポソームのリポフェクチンと比較して、短時間での遺伝子導入、高い遺伝子発現効率、低い細胞傷害性および血清存在下でも遺伝子導入が可能といった特徴を有していた。現在、細胞内に導入した遺伝子の細胞内動態を評価するとともに、遺伝子と蛋白質の細胞質内同時導入による新たな遺伝子発現システムの開発を行っている。
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