1999 Fiscal Year Annual Research Report
一過性脳虚血に伴う行動異常特性並びに徘徊モデルとしての評価
Project/Area Number |
11672262
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
荒木 博陽 岡山大学, 医学部・附属病院, 助教授 (50294450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五味田 裕 岡山大学, 医学部・附属病院, 教授 (00088709)
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Keywords | 一過性脳虚血 / ドパミン神経系 / methamphetamine / 薬物反応性 / スナネズミ |
Research Abstract |
脳の機能異常は、様々な精神疾息の原因となる。精神疾息の発症や再燃には一つのきっかけ(ストレス等)により惹起される神経伝達物質の異常が関係すると言われている。一方、スナネズミは両側総頸動脈を一過性に閉塞すると、閉塞時間に依存した海馬CA1神経細胞脱落に先立ち、持続する運動過多(情動行動変化)が認められる。一過性の脳虚血により神経伝達物質の異常遊離が知られており、これが行動異常を惹起すると考えられている。しかしこの運動過多は、dopamine(DA)_2受容体拮抗薬で抑制されるため、DA神経系の関与が示唆されているものの、未だその詳細については不明である。そこで、本研究では脳内DA神経系と情動異常(行動変化)との関係をについて検討した。スナネズミの脳虚血後の運動過多は、行動上methamphetamine(MAP)の運動過多に類似している。MAPの運動過多は反復投与すると作用が増強されることが知られていることから、スナネズミの一過性脳虚血に伴う運動過多に及ぼすMAP反復投与の影響を検討した。MAPは1〜10mg/kgを1日1回7日間投与し、その後に脳虚血を行い、再開通3,24時間後の自発運動量を測定したところ、脳虚血24時間後の運動過多はMAP投与群では用量依存的に抑制された。また、5分間一過性脳虚血を経験したスナネズミの薬物反応性について、自発運動量が正常値に回復した虚血30日以降にMAP,mazindol,apomorphineの、それ自身では運動量に影響を与えない用量をそれぞれ投与し、検討した。その結果、虚血群では、MAPにより顕著な運動過多、apomorphineでは行動抑制が認められた。これらの事実からもスナネズミ一過性脳虚血後の持続する運動過多には、DA神経系の関与が強く示唆され、特にスナネズミの一過性脳虚血による運動過多が回復した後もDA神経系には、反応性に何らかの変化が継続している可能性が考えられた。
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