2000 Fiscal Year Annual Research Report
プロアテーゼ阻害薬の血中濃度変動に対する諸要因の解析
Project/Area Number |
11672268
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Research Institution | Miyazaki Medical College |
Principal Investigator |
有森 和彦 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (70253739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 眞汎 熊本大学, 医学部・附属病院, 教授 (40002125)
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Keywords | プロテアーゼ阻害薬 / 血中濃度モニタリング / ネルフィナビル / リトナビル / サキナビル / フェニトイン / P-糖蛋白質 / エイズ |
Research Abstract |
本研究は、近年増加傾向にあるエイズ患者における適正な薬物治療を支援することを目的とするものであり、患者の血中薬物濃度モニタリングおよび細胞を用いたin vitro検討から血中濃度変動要因を解明することにある。 以下に本年度に行った研究成果の概要を報告する。 1.引き続きプロテアーゼ阻害薬のnelfinavirおよびsaquinavirを服用患者の血中薬物濃度測定データの解析を行った。その結果、nelfinavirは他のHIVプロテアーゼ阻害薬の影響が少なく、saquinavirは他のHIVプロテアーゼ阻害薬の影響を強く受けることが示唆された。また、phenytoinの代謝酵素誘導作用によるとみられるnelfinavirの血中濃度低下の原因を追究した結果、nelfinaviの代謝物M8濃度はあまり変動しなかったことから、今回の相互作用は肝臓での代謝過程に加え消化管における吸収過程での相互作用の可能性が示唆された。 2.腎由来のLLC-PK1細胞にヒトP-糖蛋白質を発現させたL-MDR1細胞を用いてnelfinavirの膜輸送に対するP-糖蛋白質の関与をcalcein AMを基質とした取り込み阻害実験によって検討した。その結果、nelfinavir>ritonavir>saquinavirの順にP-糖蛋白質の機能を阻害することが明らかとなった。逆転写酵素阻害薬ではP-糖蛋白質を阻害しなかった。2剤併用時はnelfinavirとritonavirの組み合わせが阻害力が最も強かった。 また、P-糖蛋白質と同様な排出トランスポーターの一種であるMRPに対する阻害効果も検討し、ritonavirおよびsaquinavirに弱い阻害効果が認められた。 以上の結果の一部は九州薬学会会報およびBiol.Pharm.Bull.に投稿し掲載され、残りのデータも投稿準備中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 藤井淳子 他: "抗HIV薬における血中薬物濃度モニタリング(TDM)の試み"九州薬学会会報. 54. 65-68 (2000)
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[Publications] Shiraki N. et al.: "Inhibitory effect of human immunodeficiency virus protease inhibitors on multidrug resistance transporter P-glycoproteins"Biol.Pharm.Bull.. 23(12). 1528-1531 (2000)