1999 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制薬シクロスポリンAによる腎間質線維化の発症機序に関する研究
Project/Area Number |
11672272
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三浦 克之 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (00183624)
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Keywords | シクロスポリンA / 腎線維化 / 腎毒性 |
Research Abstract |
本研究の目的は慢性シクロスポリンA腎障害において腎組織障害、特に腎間質の線維化の進展において細胞内情報伝達系ならびに転写因子の動きがどのように関わっていくかを解明することが主要な目的である。この目的を達成するために本年度においてはラットを用い、慢性シクロスポリン腎障害モデルを作成し、腎機能、腎組織学的検索を経時的に行うと共に腎間質における炎症細胞の浸潤および線維芽細胞の増殖、細胞外基質の沈着に関わる各種遺伝子の発現について検討を加えた。さらに転写因子としてAP-1、NF-kB、SP-1およびCREBのDNA結合活性がシクロスポリンの投与によってどのように変動するかについて検討を加えた。また見いだされた各種因子の変動と骨組織病変の関連を検証するには、腎病変を改善する操作で両者が正常化することを確認する必要があるので、既に当教室で慢性シクロスポリンA腎障害に対し有効性が確認されたマグネシウム補給の影響を検討し、各種因子の変動と腎病変の改善効果との関連もあわせて検討した。その結果、シクロスポリン(15mg/kg/day,s.c.)の4週間の投与により腎機能の低下と間質の縞状の線維化が観察されると共に、マクロファージの集積、浸潤に関与するオステオポンチン、MCP-1、線維芽細胞の増生に関与するTGF-β、細胞外基質の蓄積に関与するPAI-1、TIMP-1の遺伝子発現の増強が観察され、さらに転写因子であるAP-1およびNF-kBのDNA結合活性の上昇がシクロスポリン投与により誘導されることを見いだした。さらにこれらの変化がマグネシウム補給補給により著明に改善されることも明かとなった。腎臓は多種の細胞で構成されているため、このような変動の意義を明らかにするため、現在、これらの転写因子の変動の腎内での局在について検討中である。
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