2001 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制薬シクロスポリンAによる腎間質線維化の発症機序に関する研究
Project/Area Number |
11672272
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三浦 克之 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00183624)
|
Keywords | シクロスポリンA / 腎線維化 / 腎毒性 |
Research Abstract |
全年度までにマグネシウム(Mg)補給によりシクロスポリンA慢性腎病変の改善効果が種々の繊維化関連分子の遺伝子発現を遺伝子発現を抑制することにより生じることを明らかにした。さらにレニン・アンジオテンシン系の阻害薬の改善効果と比較検討することによりMg補給によるシクロスポリンA慢性腎病変改善効果にはレニン・アジオテンシン系以外の機序が関与することを明らかにした。本年度は炎症に関連する転写因子であるNF-kBがMg補給によるシクロスポリンA慢性腎病変改善効果に関与するかを特に単核球の浸潤に注目し検討した。実験にはラットCsA慢性腎毒性モデルを作成し、さらに高Mg食投与群、ACEI投与群、vehicle投与群との間で組織学的検討ならびに遺伝子発現の検討を行った。シクロスポリン投与により間質の繊維化に先行し、単核球の浸潤と単核球の走化因子であるMCP-1の遺伝子発現が共に増強された。同時に腎皮質でのNF-kBのDNA結合活性が増加した。これらの変化はMg補給により著しく抑制されたのに対し、レニン・アンジオテンシン系の阻害薬による抑制は軽微であった。MCP-1の転写制御にNF-kBが深く関与していることは良く知られた事実で、今回の結果からMg補給によるシクロスポリンA慢性腎病変改善効果にはNF-kBの制御に基づくMCP-1の発現抑制が関与している可能性が示唆された。さらにMCP-1発現抑制により単核球浸潤が抑えられた結果、間質の炎症の抑制とそれに引き続く繊維化への進展がくい止められたと考えられる。
|
-
[Publications] T.Nakatani et al.: "Effect of tacrolimus on the gene expression of renin and endothelin in the rat kidney"Transplant Proc. 33. 2296-2297 (2001)
-
[Publications] K.Miura et al.: "Role of hypomagnesemia in chronic cyclosporine rephropathy"Transplantation. 73・3. 340-347 (2002)