1999 Fiscal Year Annual Research Report
腸管出血性大腸菌O157感染による腎障害の研究-機序の解明と治療法の確立-
Project/Area Number |
11672273
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
藤村 昭夫 自治医科大学, 医学部, 教授 (90156901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 一芳 北里研究所, 基礎研究所細菌研究室, 室長 (20195126)
鶴岡 秀一 自治医科大学, 医学部, 助手 (50285798)
杉本 孝一 自治医科大学, 医学部, 講師 (90244491)
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Keywords | O-157 / ベロ毒素 / リポ多糖 / 腎障害 / IL6 / 時間薬理 |
Research Abstract |
腸管出血性大腸菌O-157;H7(O157)による腎障害にはベロ毒素(VT)とリポ多糖(LPS)が必要であるが、その機序は十分に解明されていない。そこで本年度は、O-157からVTおよびLPSを抽出・精製し、これを用いて毒性学的特徴を検討した。 1.VT-BALB/cマウスを用いて、VT投与後3日間の生存曲線よりVTのLD50を求めた(LD50=41.6ng/マウス)。さらに、LD50量のVTを投与後、2日間の血液学的変化を検討したところ、血中白血球数および血小板数は減少し、ヘマトクリット値は上昇すること、すなわちDIC様所見を呈することを明らかにした。 2.LPS-Wistarラットを用いてLPS(5mg/kg)を9:00あるいは21:00に1回投与し、投与時刻による肝腎障害の差を検討した。その結果、肝腎障害の程度は21:00投与の方が9:00投与よりも大であった。また、炎症性サイトカインであるIL-6の血中濃度や肝における産生能も21:00投与の方が大であった。以上より、LPSの投与時刻による肝腎障害の差にIL-6反応性の差が関与しているものと思われる。以上の成績は第72回日本薬理学会年会(札幌)で発表した。 今後はVTとLPSを同時に投与して腎障害モデルを作成し、その病態の特徴を明らかにするとともに、抗好中球抗体を前投与することによってVT・LPSによる腎障害が予防できるか否かを検討する予定である。
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