2000 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛に対するGDNF関連分子による治療法開発の基礎的研究
Project/Area Number |
11672282
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
鈴木 秀典 日本医科大学, 医学部, 助教授 (30221328)
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Keywords | 神経因性疼痛 / グリア細胞株由来神経栄養因子 / 神経成長因子 / 慢性絞扼性障害 / 酵素抗体法 / 異痛症 / 痛覚過敏 / 坐骨神経 |
Research Abstract |
神経因性疼痛に対するグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)関連分子による治療法の開発の基礎研究を行い、以下の知見を得た。 前年度に確立した神経因性疼痛モデルを用いて疼痛発症時における栄養因子のタンパク発現量を各組織において測定した。成熟ラットの片側坐骨神経を緩く結紮することによって慢性絞扼性障害を惹起した。Von Frey法によって行動学的に神経因性疼痛のひとつの症状と考えられる異痛症allodyniaの発現を観察した。数日後より異痛症が生じた。また、熱輻射反応潜時を測定し、温度覚過敏を検討し、障害側で軽度の過敏状態を観察した。疼痛が惹起されていることを経時的に確認し、結紮2週後に、ラットから組織を摘出、抽出後、GDNFおよび神経成長因子(NGF)などの栄養因子を定量した。栄養因子の微量タンパク分子測定のために、two-site enzyme immunoassay法を導入した。本方法で、10pg/wellまで測定可能であった。 坐骨神経結紮部位において健側同部位に比べNGFの著明な低下が見られたが、結紮部位より近位側および後根神経節では低下していなかった。正常では、NGFは皮膚で産生され、一次求心性線維中を運ばれ作用すると考えられている。本研究の結果から、結紮によって、この正常なNGF輸送が障害されていることが明らかとなった。また正常の輸送経路が障害されているにもかかわらず、神経近位端および後根神経節ではNGFの減少が見られないことから、一部異所性にNGF産生がおきている可能性が考えられた。一方、坐骨神経結紮部位において、GDNFの発現量はNGFに比べ低下は少なかった。おそらく結紮部位においてGDNFは神経を取り囲むグリア細胞からも供給されているためと考えられる。 以上の結果から、慢性疼痛の発症時に、侵害受容性一次求心性線維の生存を維持する2つの栄養因子の動態に差が認められた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Konishi,S.: "Molecular mechanism underlying facilitation of cerebellar GABA-mediated transmission following activation of monoaminergic afferent fibers"Biogenic Amines. (In press).
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[Publications] Nagano,M.: "H-7-induced apoptosis in the cells of a Drosophila neuronal cell line through affecting unidentified H-7-sensitive substance (s)."Apoptosis. (In press).
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[Publications] 高橋直樹: "痛覚伝達に関わる一次ニューロンの栄養因子依存性とその発達変化"Clinical Neuroscience. 18. 351 (2000)