2000 Fiscal Year Annual Research Report
先天性第VII因子異常症(R79Q)の組織因子による凝固活性の乖離原因の解明
Project/Area Number |
11672295
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Research Institution | SHINSHU UNIV., SCHOOL OF ALLIED MEDICAL SCIENCES |
Principal Investigator |
高宮 脩 信州大学, 医療技術短期大学部, 教授 (50216785)
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Keywords | ヒト凝固第四因子 / 組織因子 / 凝固活性 |
Research Abstract |
FVIIの4種の遺伝子組換え変異型FVII(VII79Q、VII79G、VII79P、VII79W)およびwild type(VII79R)作製して、異なる動物種のTFとの反応性を検討した。COS-1細胞培養上清中にwild type;18ng、VII79Q;22ng、VII79W;12ng、VII79;14ng、VII79P;40ngのFVIIを発現した。wild-typeのVIIcはヒトとウサギTFによる差異はなかったが、variant typeのVIIcはいずれもwild typeに比べて低値となった。wild typeを100%としてVIIag当りのVIIcに補正した時、VII Q79とW79は30%、G79とP79は10%となった。VIIG79はウサギとヒトTFによるVIIcが同程度であったが、VII Q79、W79、P79はウサギTFによるVIIcが明らかに低値となった。wild typeではFVII R79位とTFのQ24位,E56位とは水素結合をなし、3Aの距離に位置するが、VII Q79は水素結合が消失し、TFのE24位とE56位がFVIIのQ79位から7〜8Aの距離となり、反応性が低下すると考えられた。VII W79、G79、P79はTFの近接アミノ酸との距離と荷電変化などの関与でVIIcが低下するものと考えられた。ヒトFVIIaとsTFとの立体構造モデルはヒトとウサギsTFでは大きな差はなった。VIIQ79はヒトとウサギTFとのcomplexの間で大きな立体構造の差はないものの相互反応にかかわるアミノ酸との微細構造変化と距離の差が7倍のVIIcの差となったものと考えられ、著者らが報告した患者血漿での成績と一致した。VII G79はwild typeとのcomplexの微細構造は変わるもののGlyは分子として小さいため、ヒトとウサギTFの周辺構造の差を変えることがないため、VIIcに差を示さないと考えられた。VIIP79とVIIW79はヒトとウサギTFによるVIIcに明らかな違いがあるものの、単純なFVIIa-sTF複合体立体構造モデルではほとんど差異がなく、解離原因の説明を明確にすることは困難であった。
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