2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトプロテイン1/肺クララ細胞10kDa蛋白の病態検査上の意義の解明
Project/Area Number |
11672302
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
伊藤 喜久 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20129026)
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Keywords | プロテイン1 / 肺クララ細胞10kDa蛋白 / ウテログロビン / 遺伝子多型 / 血小板 |
Research Abstract |
プロテイン1(P1)は、分子量14,000ダルトンのhomodimer構造の非糖蛋白質である。肺クララ細胞10kDa蛋白(CC10)、uteroglobinとも呼ばれ、局所の炎症制御に作用していると考えられている。 平成13年度は、12年度に引き続いて研究を進め、以下の成果を得た。 1.酸性尿中ではβ2-ミクログロブリン(β2-m)は、不安定である。これに対してP1は極めて安定である。そこでβ2-mの不安定性からP1の安定性の機序を検索した。β2-mでは、尿中に混在するCathepsin Dが少なくとも分解に関与する。P1の分子上にはCathepsin Dの切断部位がないことが、安定性が維持されている理由と思われる。最近、分解に関与する酵素を新に見いだし、解析中である。尿中プロテアーゼの同定を契機に、将来、臨床的に利用されている全ての尿中蛋白の安定性の再評価が必要となる。 2.Uteroglobinの遺伝多型(SNPs)の解析からG38Aで日本人健常者のgenotypeの頻度を定め、さらにIgA腎症においては健常者の比べ38AAが24%と2倍高い頻度であることを見いだした。最近の研究では転写量が38AAで低いことが示され、Uteroglobinの産生低下が相対的な炎症の増加を導き、IgA腎症の有意な疾患感受性に結びつくと推定される。現在、健常者で新しいSNPsを発見、肺疾患との関連性についても、検索を進め新しい知見を得ている。一部は構造遺伝子に関連し、今後の機能解析との関連性からP1に関連した疾患病態の発見を目指す。 3.最近、P1に血小板抑制機能があることを、新に見いだした。機序として生体内へのCa^<++>流入を抑制する作用の可能性が疑われている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山本 英明: "酸性尿におけるβ2-ミクログロブリン変性の機序の解明"生物物理学. 45. 45-49 (2001)
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[Publications] Matsunaga A: "Association of the uteroglobin gene polymorphism with IgA nephropathy"Am J Kidney Dis. 39. 36-41 (2002)
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[Publications] 四十坊 典晴: "抗炎症分子クララ細胞10-kDa蛋白質と肺疾患"臨床病理. 50(in press). (2002)
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[Publications] 伊藤 喜久: "尿中タンパク最近の話題"臨床病理. 50(in press). (2002)