1999 Fiscal Year Annual Research Report
非弁膜症性心房細動が左房機能、血液凝固系に及ぼす影響の検討
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11672305
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岩永 史郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70213303)
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Keywords | 心房細動 / 左房機能 / 脳塞栓 / 左房内血栓 / 経食道心エコー / 電気的除細動 / 抗凝固療法 / 左心耳 |
Research Abstract |
心房細動は脳塞栓症の主要な原因の一つである。心房細動発症や心房細動の除細動によって生じる左房の機能や形態、血液凝固線溶系などの経時的変化を観察し、心房細動症例における脳塞栓症の危険因子を検討した。平成11年度に本研究では、非弁膜症性心房細動36症例に電気的除細動を行い、左心耳断面積、左心耳内血流速度、僧帽弁血流速度波形のA波高、左房径を経胸壁および経食道心エコー検査で計測した。除細動後22例で心房細動が再発したが、残り14例では3カ月後まで経時的に観察できた。左心耳内血流速度や僧帽弁血流速度波形のA波高などの左房収縮機能指標は、除細動後1ヵ月以内に回復した。しかし、左心耳断面積の縮小は除細動1ヵ月以降も持続し、左房の解剖学的構築が心房細動時から回復するのには、収縮機能よりも時間が必要であることが明かになった。凝血学的検討では、除細動直後に一過性のβ-TGのごく軽度の上昇を認めたが、その他、TAT,fibrinogen,D-dimerなどの凝固系、線溶系、血小板機能指標に変動を認めなかった。十分なwarfarinによる抗凝固療法下に施行した電気的除細動では、血液凝固線溶系に影響を来さなかった。また、心房細動症例110例に経食道心エコー検査を施行し、症例をデータベースに登録した。このうち、脳CTまたはMRIを施行した症例では、多くで陳旧性脳梗塞巣が見つかり、現在、これらの症例の1年後の脳梗塞発症の有無を調査している。
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