1999 Fiscal Year Annual Research Report
大腿骨頸部骨折患者の退院後におけるADLとQOLに影響する生活要因
Project/Area Number |
11672322
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
梶田 悦子 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50135373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中林 美奈子 富山医科薬科大学, 医学部, 講師 (30293286)
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Keywords | 大腿骨頸部骨折 / ADL / QOL / 生活要因 |
Research Abstract |
大腿骨頸部骨折は歩行機能を障害して、高齢者の日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)を大きく損ない、寝たきりや老人痴呆等の合併症を引き起こすため、老人骨折の中でも極めて重要な骨折である。さらに骨折による機能低下等により、日常生活動作の自立が遅延していく事例の増加や家族の介護負担が増加することが予想される。本研究では大腿骨頸部骨折患者と非骨折患者の身体活動性(ADL・IADL)を取り上げ、両群の身体活動性と骨折に影響する要因との比較検討を行い、これらを通して高齢期の骨折における有効な看護指針を得ることを目的とした。 調査対象は、高齢の大腿骨頸部骨折患者と慢性的な障害を有する非骨折患者の2群で、年齢と性をマッチさせた39ペア78人である。調査内容は身体特性(身長、体重、BMI、下肢長)、体力指標として握力、開眼片足立ち、努力性肺活量等を測定した。生活関連要因として、既往歴、入院前の身体活動性(ADL,IADL)、転倒歴、労働状況等を聞き取った。また骨折後退院した患者については退院後のADL等を聞き取った。今年度はこれらのデータベースを作成した。 平均年齢は骨折群81.7±7.8歳、非骨折群81.1±6.7歳であり、両群とも後期高齢者が多かった。身長、体重、BMIに差はなかった。下肢長は骨折群が有意に長かった。体力指標では、握力、開眼片足止ち・努力性肺活量とも両群に差は認められなかった。生活要因では骨折群に室内作業者が有意に多かった。また、入院前の活動能力では骨折群が非骨折群に比べて有意に低かった。転倒歴は両群で有意差はなかったが、50代以降の骨折歴は骨折群が非骨折群に比べて有意に多かった。また、骨折群における退院後のADLおよびIADLをみると、受傷前運動習慣を有する者はない者に比較して、ADLおよびIADLいずれも高く、退院指導等に運動を効果的に取り入れていく必要性が示された。
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