1999 Fiscal Year Annual Research Report
在宅医療における看護婦の裁量権拡大と医療の質の変化に関する研究
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11672331
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水流 聡子 広島大学, 医学部, 助教授 (80177328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安川 文明 広島国際大学, 医療福祉学部, 助教授 (90301845)
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Keywords | 訪問看護 / 訪問看護婦 / 裁量権 / 医療の質 / スキルミックス / アウトカム評価 |
Research Abstract |
本研究では、在宅医療における看護婦の裁量権拡大と医療の質との関係を、訪問看護ステーションにおけるミクロデータをもとに、定性的・定量的に明らかにすることを目的としている。英国では、在宅医療の質の向上に看護婦の裁量権拡大が寄与するという先見的期待のもとに、看護婦の裁量権拡大の試行が実施されつつあるが、日本では未だその動きはない。この関係性をより鮮明にするために、本研究では英国と日本との比較を試みている。平成11年度は、両者の実態構造をあきらかにするために、日本と英国の全体的な統計資料の収集の他に、訪問調査によって最新の動きに関する情報収集を行った。英国における訪問調査は、ロンドンとエジンバラの2カ所で、それぞれAudit CommisionとISD(Information and Statistic Division)を訪問した。ロンドンのAudit Commisionでは、当該組織が所有する最新の調査結果をもとに、英国の訪問看護サービスの提供構造(スキルミックスの状況と提供サービスの関係)、その評価手法および用いている指標、家庭医・専門医との関係等について、率直な意見交換を行った。スコットランドのISDでは、訪問看護のアウトカム評価の可能性に関する議論を行った。これらの調査を通して、訪問看護というサービス内容は拡大も縮小も可能な不安定状態にあるが、その必要性は経験的に認知されつつあることから、当該サービスを積極的に評価し、公的財源を投入することの妥当性を科学的に証明することが求められていると判断された。すなわち、(1)何が成果なのか、(2)その成果指標として何が使えるのか(3)構造・過程と成果との関係性の証明に関する実証研究が必要であることが認識できた。(1)(2)(3)を英国・日本の2国間で比較することによって、訪問看護婦の裁量権と医療の質との関係がよりわかりやすくなる可能性が示唆された。
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