2000 Fiscal Year Annual Research Report
在宅医療における看護婦の裁量権拡大と医療の質の変化に関する研究
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11672331
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水流 聡子 広島大学, 医学部, 助教授 (80177328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安川 文朗 広島国際大学, 医療福祉学部, 助教授 (90301845)
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Keywords | 看護 / 訪問看護 / 裁量 / 在宅医療 / 質 / 評価 |
Research Abstract |
本研究の目的は、在宅医療における看護婦の裁量権拡大と医療の質との関係を、訪問看護ステーションにおけるミクロデータをもとに、定性的・定量的に明らかにすることである。英国におけるプライマリケアでは、クライアントに対するサービス内容の決定に、訪問看護婦(district nurse)が幅広い裁量権を持ちつつある。この背景には、医療コストの削減問題だけでなく、サービス提供におけるスキルミックスの進展が、クライアントの生活や健康管理をより促進させるという期待がある。われわれは、英国での訪問調査を平成11年に実施した後、日本のミクロデータ収集のための全国調査を、平成12年7月に実施した。英国では、在宅医療の質の向上に看護婦の裁量権拡大が寄与するという先見的期待のもとに、看護婦の裁量権拡大の試行が実施されつつある状況であった。訪問時、そのアウトカム評価に向けたNHSのデータベース開発のためのプロジェクトが進行していた。英国のこのような政策レベルでの動きに対し、日本国内の現場面接調査の結果からは、現場レベルでの動きの方が先行している可能性が示唆された。そこで、訪問看護婦の裁量範囲を示す指標を絞り込み、全国約3000カ所の訪問看護ステーションに対して、医療依存度の高い利用者に対する訪問看護婦の裁量状況について質問紙調査を行った。その結果、約600ステーションから約1000ケースのデータが回収され、訪問看護婦の裁量範囲について、(1)患者の手持ち薬剤の使用(2)ステーションへの置き薬剤の有無とその取り扱い(3)相対的医行為の実施状況(4)薬剤オーダーの主治医への依頼(5)検査オーダーの主治医への依頼という点において、質の高い看護婦が担当する場合には、かなりの裁量を与えていることが示唆された。その成果としては、(1)在宅患者への迅速な対応(2)(迅速な対応があるゆえか)通院回数を減少させる可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)