2000 Fiscal Year Annual Research Report
腎移植を受けたレシピエントのQOLを高めるための看護援助モデルの開発
Project/Area Number |
11672374
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金尾 直美 岡山大学, 医学部, 助手 (30274020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 代志子 岡山大学, 医学部, 助手 (50217783)
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Keywords | 看護援助モデル / 腎移植 / Quality of Life / 自己概念 / サポート / 不確かさ / 身体の状態 / 対処 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、我々が作成した看護援助モデルの検証を目的として、モデルを腎移植者に適応し検討を行った。対象者は、平成11年11月に献腎移植を受けた46歳の男性、K氏である。このレシピエントは、35歳の時に高血圧を指摘され入院加療を受けたが、退院後は自己判断で内服を中断し、39歳に透析導入していた。40歳の時、透析の無い生活を望んでドナー登録をした。腎提供者出現の連絡を受けた時はすぐにやろうと決意したが、手術直前に医師から具体的な説明を聞き、術後が想像以上に大変な状況になることを知り動揺したまま移植を受けた。移植後、尿管縫合不全のための再手術や強い創部痛・胸痛、全身倦怠感に起因した筋力低下により自力での歩行が困難になるなどの身体的なトラブルにみまわれた。K氏は、痛みと全身倦怠感を怒鳴ったり物に当たったりして繰り返し訴えていたが、自力歩行が困難となった頃より無気力になり、内服の自己管理もできなくなった。K氏は、移植に対する知識が不足しており術後の状況を予測できなかっため、腎機能が良好にもかかわらず体調が安定しないことに対して生じた怒りと不安の感情を看護婦に怒鳴りつけることによって表出するという消極的感情的対処行動をとっていた。さらに、スポーツマンのK氏にとって、体重減少や筋力低下はボディイメージを著しく低下させ自己概念を否定的に捉えていた。看護婦は、K氏の苦痛や不安を傾聴し、常に患者の感情を肯定的に受け止めて援助を行った。退院後、K氏はリハビリに積極的に取り組み、「こんなに動けるようになった」と看護婦に笑顔で報告したことから、自己を肯定的に捉えることができ、認知的な対処行動に至ったと評価できる。また今回の検討で、術前にレシピエントが移植に関する正しい知識を習得することは、移植後のQOLを高めるために不可欠であることを再確認したため、現在の腎移植者指導用パンフレットの見直しを行った。
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