2000 Fiscal Year Annual Research Report
口腔・中咽頭癌術後嚥下障害における嚥下と呼吸の協調に関する研究
Project/Area Number |
11672386
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Research Institution | Aichi Prefectural College of Nursing & Health |
Principal Investigator |
鎌倉 やよい 愛知県立看護大学, 看護学部, 教授 (00177560)
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Keywords | 口腔・中咽頭癌 / 術後嚥下障害 / 呼吸型 / 呼吸軌跡 / バイオフィードバック |
Research Abstract |
口腔・中咽頭癌患者は50〜70歳代まで広く分布し、男性に多い。呼吸軌跡のフィードバックを用いた嚥下訓練のための基礎的研究として、高齢者が呼吸周期のどの時期であっても随意的に嚥下を惹起させることができるかを目的に実験を実施した。測定装置は、MacLab/8s、BioAmp、パーソナルコンピュータ、液晶プロジェクターを使用して、5ml水嚥下時の舌骨上筋群表面筋電図と呼吸センサーによる呼吸軌跡を同時に測定した。被験者は健康な高齢者11人(男性11人,年齢71.5±3.7歳)である。被験者はプロジェクターによって投影された各自の呼吸軌跡を見ながら、呼気終末時(A)、吸気の途中(B)、吸気終末時(C)、呼気の途中(D)のいずれか図示された時期で嚥下を惹起させて、それが記録された。各時期について5回の水嚥下が実施された。分析は、すべての水嚥下について呼吸型を確定し^<1)> 、さらにABCD各教示に適合した呼吸型の発現率を求めた。その結果、Aではae/aiが43.6%、Bでは1-2i1eae/1-2i1eai/1-2iae/1-2iaiが20.0%、Cでは3i1eae/3i1eai/3iae/3iaiが45.5%、Dでは3i1-2eae/3i1-2eaiが40.0%であった。また、嚥下時の安全な呼吸型は2-3i1-2eae/2-3iaeである。これらの発現率が5ml水嚥下時には35.1%であったが、吸気終末時(C)の教示では83.6%を示した。高齢者であっても、呼吸軌跡のフィードバックによって、随意的に嚥下をコントロールする可能性が示された。次に、口腔・中咽頭癌患者8人を対象として実施した。舌可動部舌根部切除・中咽頭切除・遊離皮弁移植は嚥下圧形成不全および咽頭期惹起遅延を引き起こし、喉頭運動を2回以上繰り返す分割嚥下がみられた。吸気終末時(C)の教示によって、6人が1回の喉頭運動で嚥下を終了させ、2人は喉頭運動の回数が減少した。以上から、呼吸型を変化させる効果が確認された。 1)鎌倉やよい他:嚥下と呼吸の協調への量と温度の影響.日摂食嚥下リハ会誌,4(2):38-46,2000.
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