2001 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌患者の意思決定のプロセスを支える看護に関する研究
Project/Area Number |
11672387
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Research Institution | Osaka Prefecture College of Nursing |
Principal Investigator |
田中 京子 大阪府立看護大学, 看護学部, 教授 (90207085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西岡 ひとみ 大阪府立看護大学, 看護学部, 助手 (90316026)
森本 悦子 大阪府立看護大学, 看護学部, 講師 (60305670)
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Keywords | 乳癌患者 / 意思決定 / 満足度 / 情報 |
Research Abstract |
本研究は、乳癌患者が手術内容を含めた自らの治療法を決定するプロセスにおいて、意思決定に影響を及ぼす要因と患者の満足度との関係を明らかにし、主体的な意思決定を支える看護援助について検討することを目的とした。対象は、初めて乳癌と診断され、病名告知後に治療法を自らの意思で決定し、2001年1月以降に手術を受けた20歳以上の女性のうち、研究参加の承諾が得られた者とした。調査は、乳癌患者が治療法決定時にとった意思決定役割、個人的・社会的特性、疾患・治療、患者の得た情報、ソーシャル・サポート、不安、および意思決定に対する満足度からなる自己報告式の質問紙を作成、配布し、郵送法により回収した。分析対象は、有効回答の110名(78.0%)とした。分析には、x^2検定、t検定、一元分散分析を用いた。 その結果、対象者の平均年齢は52.8±12.3歳で、乳房温存術の者が66名、乳房切除術の者が44名であった。患者の満足度に影響を及ぼしていた要因は、意思決定役割、術式、配偶者以外の家族からのソーシャル・サポート、および情報量であった(α=0.005)。また、患者の意思決定役割は、最終学歴と配偶者の有無の間で有意差がみられた。乳癌患者が主に用いていた情報源は、医師、病院パンフレット・医学関係雑誌、家族・知人であった。得ていた情報は、病気の進行度や転移、治療の選択肢や利点・欠点、治療の副作用、再発の可能性などで、自らの治療や疾患の進行・予後に関するものが多かった。また、意思決定に役立っていた情報は、治療の選択肢や利点・欠点、病気の進行度や転移、および医療機関や医師の専門性などであった。これらのことから、術前から意思決定に役立つ情報が得られるとともに、配偶者以外の家族が患者をサポートできるよう働きかけていくことが、複数の選択肢を持つ治療に取り組む乳癌患者の満足につながると考える。
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