1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11672398
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Research Institution | The Japanese Red Cross Musashino Junior College of Nursing |
Principal Investigator |
森 美智子 日本赤十字武蔵野短期大学, 看護学部, 教授 (10248966)
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Keywords | 悪性疾患患者 / 母親 / 状況危機 / ソーシャルサポート / Mood Scale / 家庭崩壊 |
Research Abstract |
悪性疾患患児の親の状況危機と援助に関する研究である。11年度のテーマは「闘病過程における状況危機と援助ニーズ」である。 悪性疾患および重篤疾患患児の母親45名(うち患児を失った母親2名)を対象に、闘病中を回想していただき、重圧要素、心身の疲労度、ソーシャルサポート、家庭崩壊の危機の有無や援助ニーズを得て、状況危機の要因を明らかにした。調査用紙は手渡し、同意者のみ記述し無記名で返送されたものである。 患児の病名は白血病が30名、その他悪性疾患10名、重篤疾患5名である。発症年令は幼児期が57・7%で、闘病期間は1年以内42.3%で平均4年である。母親の年令は20〜30代が半数で平均は40.7歳である。 母親の心情は、児の発症年令、闘病期間、母親の年令に無関係に、しのびない、祈る思い等、人の苦悩の極限を述べている。母親は児に心を痛めながらも、児の頑張る姿に救われている。この相互作用は状況危機を乗り越えるのに重要な要因である。 重圧要素は家に残された子どもに対する思いと、心身の疲労である。心身の疲労の時期は、告知から入院1ヶ月で治療不安と入院生活の不適応である。次に6ヶ月以上長期化したストレス、再発等である。ソーシャルサポートはネットワーク数、サポート量ともに少ない。中でも夫のサポートが少く、不満を持つ人は44.4%(うち別居は3名)で、家庭崩壊の危機を潜在的に持つ母親のMood scaleは12.6で抑うつ・不安・怒りの感情がある。 援助ニーズは夫との絆を強める協力関係、留守宅家族の支援、付添の交代、医師・看護婦の親身な医療、同病の母親との共感的な話し合い、カウンセリング、経済的支援、学籍移動しない院内学級の設置、付添食・入浴設備などである。状況危機の要因は闘病生活の長期化とそのあり方、発病前の夫婦関係、心身の疲労とソーシャルサポートで、それに影響を与えるのは母子関係と夫婦の協力関係である。
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