1999 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患における新規の神経栄養因子パーセフィンの病態に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
11672401
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 慎一 京都大学, 医学研究科, 助手 (20231475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋口 一郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30115779)
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Keywords | GDNF / パーセフィン / 免疫組織化学 / パーキンソン病 / 筋萎縮性側索硬化症 |
Research Abstract |
グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)はドパミン神経細胞、脳神経細胞や脊髄前角細胞などの運動神経に対して栄養因子として作用する。最近、GDNFとアミノ酸配列に40%程度の相同性を有する新規の栄養因子としてナツーリン、ついでパーセフィンが発見された。この中で、パーセフィンは中脳のドパミン含有ニューロンの培養状態での生存を促進する作用を有し、また培養運動ニューロンの生存の促進、座骨神経切除後の運動ニューロンの生残を促進することも明らかにされた。これらの知見から、パーセフィンはドパミンニューロンが変性するパーキンソン病、運動ニューロンが変性する筋萎縮性側索硬化症などの原因不明で治療法の確立していない神経変性疾患でのパーセフィン分子の病態変化の解明が必要と考えた。本研究では、パーセフィンの神経変性疾患での病態生理を解析するために、パーセフィンの抗ペプチド抗体を作製し、ヒト剖検脳を免疫組織化学的に検索する。本年度は抗パーセフィン抗体を作製した。得られた抗体はウェスタンブロットにてラット脳ホモジェネートについて、単一バンドを反応することが明らかとなった。本抗体をアフィニティ精製したのち、ラット脳での免疫組織化学的局在を検討した。その結果、パーセフィンはラット脳内では、神経細胞と神経終末に局在することが明らかとなった。次年度は本抗体をもちいて、第1に正常対照例の剖検脳において、パーセフィンの免疫組織化学的局在をあきらかにする。ついで、パーキンソン病と筋萎縮性側索硬化症の剖検脳についてであり、それぞれ、基底核と脊髄前角細胞を主たる検討部位として、形態変化について、定性的、定量的に検索する。これらの検討の結果から、パーセフィンとこれらの神経変性疾患との因果関係の有無を調査する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kawamoto Y.他: "Glial cell line derived neurotrophic factor-like immunoreactivity in the cerebellum from normal subjects and patients with multiple system atrophy"Acta Neuropathologica. (印刷中). (1999)
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[Publications] Nakamura S.他: "Expression of the endocytosis regulatory proteins Rab5 and Rabaptin-5 in glial cytoplasmic inclusions from brains with multiple system atrophy"Clinical Neuropathology. (印刷中). (1999)
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[Publications] Nakano S.他: "Aberrant expression of cyclin-dependent kinase 5(CDK5) in inclusion body myositis"Neurology. 53巻. 1671-1676 (1999)
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[Publications] Kawamoto,Y.他: "Increased expression of brain-derived neurotrophic factor-containing axons in the basal ganglia of patients with multiple system atrophy"Journal of Neuropathology and Experimental Neurology. 58巻. 765-772 (1999)
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[Publications] Honjyo Y.他: "Immunohistochemical localization of cdk5 activator p39 In the rat brain"Neuro Report. 10巻. 3375-3379 (1999)
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[Publications] Kawamoto,Y.他: "Cellular localization of brain-derived neurotrophic factor-like Immunoreactivity In adult monkey brain"Brain Research. 281巻. 341-349 (1999)