2000 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患における新規の神経栄養因子パーセフィンの病態に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
11672401
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Research Institution | KYOTO UNIVESITY |
Principal Investigator |
秋口 一郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30115779)
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Keywords | GDNF / パーセフィン / パーキンソン病 / 筋萎縮性側索硬化症 |
Research Abstract |
GDNFはドパミン神経細胞の栄養因子として同定されたグリア細胞由来の神経栄養因子である。最近、GDNFのアミノ酸配列と相同性を有する新規の栄養因子として、ナツーリン、ついでパーセフィンが発見された。パーセフィンは中脳腹側部のドパミン含有ニューロンの培養状態での生存を促進する作用を有する、さらにこれらのニューロンの6-水酸化ドパミン毒性に対する保護作用を有することが見いだされた。さらに、パーセフィンは培養された運動ニューロンの生存も促進すること、また、生体においては坐骨神経切除後の運動ニューロンの生残を促進することも確認された。一方、パーセフィンは末梢神経系には栄養因子作用をもたないことも見いだされ、中枢神経系が主な作用の場と考えられた。これらの知見から、パーセフィンはドパミンニューロンが変性するパーキンソン病、運動ニューロンが変性する筋萎縮性側索硬化症をふくめた原因不明でいまだ治療法の確立していない各種の神経変性疾患でのパーセフィン分子の病態変化の研究が必要と考えた。これまでに、パーセフィン分子のアミノ酸配列のN端とC端の中で、GDNFなどと相同性のない部分配列についての合成ペプチドをKLHとコンジュゲートして抗原とし、家兎に免疫することを試みている。しかし、これまでのところ、十分な力価のある抗体は得られていない。さらに、引き続いて免疫をくりかえす必要があるが、パーセフィン分子の他のアミノ酸列の部位の合成ペプチドをもちいての抗体作製を試みる必要も考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakamura S. et al.: "Expression of the endocytosis regulatory proteins Rab5 and Rabaptin-5 in glial cytoplasmic inclusions from brains with multiple system atrophy."Clinical Neuropathology. 19・2. 51-56 (2000)
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[Publications] Kawamoto Y. et al.: "Gial cell line-derived neurotrophic factor-like immunoreactivity in the cerebella of normal subjects and patients with multiple system atrophy."Acta Neuropathologica. 100・2. 131-137 (2000)
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[Publications] Kawamoto Y. et al.: "Increased brain-derived neurotrophic factor-containing axons in the basal ganglia of patients with multiple system atrophy."Journal of Neuropathology and Expermental Neurology. 58・7. 765-772 (1999)
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[Publications] Akiguchi I. et al.: "Brain magnetic resonance spetroscopy and brain atrophy in myotonic dystrophy."Arch Neurol. 56. 325-330 (1999)
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[Publications] Akiguchi I. et al.: "Increased coagulatory activity in subcortical arteriosclerotic encephalopathy (Binswanger's disease)."J Neurol.. 242. 58-60 (1999)
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[Publications] Akiguchi I. et al.: "Subcortical vascular encephalopathy (Binswanger's disease) : prophylactic and therapeutic approaches."Neuropathology. 19. 119-128 (1999)